凹んだ時に少しウフ本

安川某

ハロウィンの夜

今日は1月5日、ハロウィン。


年に一度、お菓子が貰える素敵な日。

隣のトムおじさんは去年たくさんの飴玉をくれたし、向かいのメアリーおばさんはおっきなケーキを作ってくれたし、地中70メートルのボブお兄さんは埋まってたわ。今日はどんなお菓子を貰えるのかしら!


白いシーツをかぶってお化けの格好、ちょっと黄ばんでる。

お父さんがふんどしの代わりにしていたシーツだし、Amazonで令和最新版だったのに、すっかりボロボロ。

でもお金がないから・・・。


でもでも、その方がお化けの雰囲気が出るよね!


そんなことを考えながら歩いていたら、向かいの大陸を超えた島国のサブローおじさんの家の着いたわ。

コンコンと玄関を叩き、お決まりのセリフを言うの。

「このペテン師!!」

「まあまあ、可愛いお化けだこと。あなた、お菓子持ってきてあげて」


玄関に出てくれたおばさんが、奥に向かって言うの。

そしたら大好きなサブローおじさんが、にっこり笑って何か持ってきてくれた!


サバだった。



びちびちと跳ねる、釣りたてのサバ。サバ、サバ、鯖。


まるで私の脳を掻き回すかのように、跳ねて、うねって、震える。

海してるバイブレーション。海感(カイカン)のウェイビング。


火水土風、四属性。サバは何属性?


死んだ魚の目、−−サバは闇属性。

ちくしょう、最悪の相性だ。


この「ハロウィンズ・ゲーム」はプレイヤー同士の命を掛けたコロシアイ。

このサバは私の脳を直接支配してくる。それがサブローおじさんの「スキル」。サバを扱えるなんてレベル36以上、「4回以上クリア」の猛者であることは疑いようがない。


助けて––ケイイチ!!


そう私が願った時、闇夜を引き裂くように天が割れ、神々たる光をたたえた太陽が姿を現した。


太陽は姿を現して、少し引っ込んで、また先っぽだけ姿を見せた。

するとやっぱり引っ込んで、もう二度と現れることはなかった・・・。


「なんなの・・・」


正月休みが、終わった。

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