芸能人の話
テレビに出たことが二回あります。
一回目は幼稚園児の頃にひらかたパークで吉本の若手芸人のインタビューに捕まって、当時の私は同じマンションに住む年下の男の子のことを「好き」と言っていた。
二回目は小学三年生ぐらいの頃に天才てれびくんMAXの放課後コロシアムに友達と応募して、ずっと返事がなかったのでみんなすっかり忘れていた二年後にNHKから返事が来て、出ることになった。25mの距離を大縄跳びを飛びながら7人ぐらいで一斉に走るみたいなやつで、私は運動がからっきしダメなのでスターターになった。
撮影に向けての練習が始まって、私が「よーいスタート」を言うわけだけども、そのタイミングを合わせるために最初に「行くで!」と叫んでから「よーいスタート」と言うのがお決まりの合図になっていた。それはやっぱり本番でも練習通りにした方がいいということで、撮影の時に「行くで!よーいスタート」と叫んだ所をオンエア時にアップで抜かれて、次の日から上級生に顔を見られるたびに「行くで!」と言われる日々が続いて非常に辛かった。
16歳上のイトコが女優をやっていて、たまにCMとかドラマに出ていて、それにすごく憧れがあったから小学二年生の時に親に頼んで芸能事務所に一年間だけ入れてもらったことがある。
自分からやりたいと言ったくせにカメラが嫌いな子供だったからカメラテストですら文句ばかり言って態度は最悪だったはずなのに何故か合格してしかもありがたいことに仕事をもらえた。宝塚市のローカルラジオで事務所の宣伝のために代表として自己紹介をするという内容だった。公開生放送なので一発勝負である。事前の打ち合わせで「何か言われたらとりあえず『はい』と言ってね」と言われたので本番の冒頭で「福井ウサギちゃん、こんにちは!」と言われた時に「こんにちは!」と返すべきところを思いっきり「はい!!!」と叫んでしまった。その後も「ウサギちゃんはどんなタレントさんになりたいですか?」と聞かれて「大塚愛ちゃんみたいなアイドルになりたいです」と答えた。大塚愛はアイドルじゃない。その後もめちゃくちゃなことしか言えず本番が終わった後にお給料が入った包みが親に渡されると「それは私のお金!私に渡して!」と泣きながら暴れて親に抱えられながら無理矢理控え室を出てその日の仕事は終わった。その後事務所から仕事の依頼が来ることは一切なかった。
中学一年生の一学期に実は女優になりたいという話を親にしたら最初は鼻で笑われたけどしばらくした後映画のオーディションの情報が載っていた新聞の切り抜きを持ってきて「応募してみたら?」と言ってくれた。書類審査が通過したのでファックスで台本の一部が送られてきた。面接の演技で合否を決めるということだった。一生懸命セリフを覚えて面接に挑んだが普通に落ちた。合格したのは堀北真希の事務所にいた同い年の女の子だった。それからどこか他の事務所のオーディションを受けようかとも思ったけど芸能界なんてもう無理やわなと家で横になっていたら東京から電話がかかってきてオーディションを受けた映画のエキストラに参加してくださいと言われた。すぐにOKして夏休みに京都のロケ地へ行った。ヒロインと同じ中学に通う生徒たちという設定だった。主演の綾瀬はるかがいて、遠くで見るだけよ、近づいちゃダメだよとスタッフさんに言われていたのでなるべく遠くから目に焼き付けていたら「こっちのほうが涼しいな~」と言いながら綾瀬はるかの方から私の横に来てくれた。びっくりしていたら目が合ってニコっと笑ってくれた。その後も何度か目が合うたびに笑ってくれた。本当にいい人だった。
ただそのエキストラをしていた時にわかったことは、芸能界は社交的で積極的なタイプの子の方が成功する世界で、私みたいな人見知りのマイペースで人と目を合わせるのが苦手な人には向いてないってことだった。実際の学校を貸し切っていたので教室が控え室だったんだけど、ロケ弁を食べるときも教室の隅っこでうつむいていたから当然スタッフさんの印象に残らなくて、前のほうの席に座ってスタッフさんと積極的に話していた子は他のエキストラにも呼ばれていた。学校と同じやなー教室で地味なタイプは結局無理な世界なんやなと思い知れたのでいい経験だった。
東京に住んでいた頃竹下通りでスカウトされて、バイトも何もしてなかったからオーディションだけ受けてみて、合格したけど高いレッスン料取られそうになったから契約しなかった。まあこれは詐欺みたいなもんだから断って正解だった。
今でも親に演技とかやったら少しは社交性身につくんじゃない?って言われるけどただでさえヤク中の私がもし芸能界に足を踏み入れたらそれこそ本当にヤバイ薬に手を出しかねないからダメだな!HAHAHA
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