007:ゼルダの伝説 時のオカリナ
【タイトル】
ゼルダの伝説 時のオカリナ
【ハード】
ニンテンドウ64
【販売/開発】
任天堂
【発売日】
1998年11月21日
◆『文字通り伝説となったゲーム』
「ゲームでしか味わえない、感動がある」
TVCMで使われた本作のキャッチコピーは、以後のゼルダシリーズ全体のキャッチコピーになったと言えるでしょう。
ひいては任天堂作品全般のキャッチコピーと感じる人もいるかもしれません。
そのくらい、任天堂が本作で世界に与えた衝撃というのは巨大なものでした。
あるいは、任天堂内にも影響を与えたのかもしれません。
『ゼルダの伝説』といえば、マリオと並ぶ任天堂の看板タイトル。
主人公リンクを操作し、フィールドやダンジョンを探索しながら世界を救う冒険を繰り広げるアクションゲーム。
進むごとにやれることがどんどんと増えていくロールプレイング的な要素もありますね。
そして『時のオカリナ』といえば、ニンテンドウ64向けに開発されたゼルダとして、開発の初報の時から非常に注目を浴びていたタイトルでした。
子供時代と大人時代、時を越えた壮大な冒険を繰り広げ、シリーズでも根幹を成す重要な世界設定が成されたタイトルでもありました。
今でこそ、ゲーム史に残る傑作として名高い時オカですが…
まーーーーー長かった!
とにかく、発売までが長かった!
なんっかい延期されたことか!!
当時はまだネットなんてものがまだそんなに充実してませんでしたからね。
ゲーム雑誌とかでちょこちょこ情報は出て来るんだが、まーー発売日が何度も延期されたのはよく覚えてます。
ゼルダといえば延期って風潮さえあったような気もします。
いつ開発中止になるのか、恐れていたゲーマーの方もいらっしゃったのでは?
調べてみたら、約2年くらい延期してました。なっげぇ!
まぁそれも、あのクオリティを見せられれば納得ではありますが……
同じく看板タイトルであるマリオが一足早く、『スーパーマリオ64』で世界に衝撃を与えた後でしたからね。
生半可なものでは出せない、出さないという意志がヒシヒシと感じられます。
ゲーム開発というのは納期もシビアな世界ですから、クオリティを妥協して開発を進めるということも時としては必要です。
ただ、多分ですけど本作については儲けとクオリティを天秤に掛け、クオリティの方に傾け続けていたのではと推察します。
看板タイトルという重責、ファンが待ち望む期待を超えようとする気概。
そうでもなければ、あそこまで心に響くタイトルには仕上がらなかったでしょう。
ちなみに、私はあのTVCMも凄いと思ってます。
ほっとんど無言で、ひたすらゲームをやる感じの。
それだけゲームの内容に自信があったということなのかもしれません。
「100万本突破」というCMも、ほぼ同じ感じでしたしね。
とはいえ、あの延期伝説は大きなトラウマになっているのか。
任天堂は本作以降、ほとんどのゲームで発売が近くなるまで詳細な情報を出さないようになりました。
ほぼ完成形が見えてる状態でお目見えして、プレイヤーの期待と注目を浴びて一気に宣伝するスタイルは現在も続いています。
プロモーションの在り方の変化という意味でも、本作の影響というのが垣間見えます。
◆『ゲーム史を変えた発明』
3Dのゲーム開発はカメラとの戦い、という記事をどこかで読んだ覚えがあります。
実際、3Dのアクションゲームというのは、フィールドとカメラを常に意識しないととんでもないことになります。
えぇ、私もちょっとだけ3Dのゲーム開発に参加したことがありますが、まぁカメラ酔いに悩まされました。
焦点がブレるとカメラが動きまくって、酔う。
かといって、カメラをあまり動かさないようにすると、迫力がまったく感じられない。
この時オカでは、それらを解決する画期的な技術が生まれましたね。
その代表例は、ご存知『Z注目』です。
Zボタンを押して対象を注目し、注目した相手を常にカメラの焦点にするというシステムです。
プレイヤーは対象の周囲を回るように動くようになる、特徴的な視点です。
3D酔いというのはめっちゃ簡単に言っちゃえば、画面で見ている視点がプレイヤーの予想と違うものになって脳が混乱してしまうことです。
しかし、人間の視線というのは面白いもので、何かひとつ「あぁこれを見ればいいんだ」というものが一個あるとそこに注目します。
注目している点が一個あると集中し、周りの様相が変わっても気にせずにいられるようになります。
これを利用し、敵なりアイテムなり、対象を注目して常に画面の中央に置くことで、視点が勝手に動いても気にならない状況を作っているんです。
3D酔いに対する画期的な答えを見つけ出したのが時オカでした。
さらに、対象を注目しているということは、常に敵が見えている状態になる。
敵を見失うというプレイヤーのリスクは減るし、剣で戦おうとすれば自然とカメラが近づいて戦闘時に大きな迫力を生みます。
さらにいえば、このZ注目を使っていれば、パチンコや弓などの飛び道具も外さない!
狙撃は射撃武器の楽しみとはいえ、精密操作を要求されることが苦手なプレイヤーにとっても救済措置になる。
おまけに、このZ注目というシステムをスムーズに理解してもらう為、妖精ナビィという名脇役が登場することにもなりました。
基本的に喋らない主人公リンクに代わって色々と喋ってくれるので、プレイヤーが物語に入り込むのに一役買ってくれます。
『アイディアとは、複数の問題を一気に解決するものである』というのが、マリオやゼルダを生み出した宮本茂氏のポリシーであるそうで。
このZ注目というのは、時オカというゲームを象徴し、形作る根幹となるほど重要なシステムになっていました。
最終局面で一時的にZ注目が使えなくなることの不便さは、このゲームのプレイヤーは身を以って味わったことでしょう。
現在ではいろんなゲームにおいてターゲットに注目するシステムが搭載されています。
が、ここまで実践的かつ気持ちよくプレイできるシステムに昇華したのは間違いなく本作が最初でしょう。
ゲームの歴史、3Dゲーム開発史において、まさにアイディアによる技術革新という意味で重要な位置を占めてます。
他にも、ダンジョン内でのダイナミックな仕掛けも本作の象徴でしょう。
森の神殿の、あのぐるぐると回転する廊下とか。
水の神殿の、全体の水位に影響する仕掛けとか。
マリオ64をはじめとする作品で培ってきたであろう、迫力あるカメラワークによる仕掛けや演出がそこかしこに。
3Dゲームのお手本ともいうべきものが、とにかく色々と見つかります。
◆『ただ、怖すぎる』
さて、世間で傑作と名高いこのゲームですが、私自身はと言えば発売当時は小学生。
最初はあんまり興味を持ってなかったんですよ。
あんまりゼルダシリーズをやってなかったので。
ただ、友人がゼルダ大好きだったので、ソフトを貸してもらってたんですね。
あぁ、ソフトの貸し借りなんて今ではあんまり無いのでしょうかね……懐かしい。
当時、64向けのゴエモンか何かと交換で借りた気がします。
で、最初のほうは「わーなんだこれ!」と楽しく遊んでたんですよ。
草を刈ったり石を投げたりするだけでも楽しいんですよね。
あぁ、こんなのも切れるんだ、動かせるんだと。
看板を切ってヒントが読めなくなるのは誰もが通る道。
ただ、だんだんとビビリなお子様であった私にはきっつい要素が出てくるんですね。
スタルチュラハウスで不気味な顔したクモになった人達にビビり。
(ちなみにこの人達を攻撃すると出す悲鳴が実に不気味で嫌いです)
ジャブジャブ様のデカさにビビり。
あぁ、隠れて王城に潜入するのも苦手でしたね。
BGMはのどかなのに変に緊張感あるのが。
極めつけはもう、リーデッドでしょう。
「キィィエアアアア!!!」と不気味な悲鳴で注目され、わざわざカメラのアップで正面を見せるゾンビのような敵。
おまけに麻痺って動けなくなるアレ。
64のポリゴンのカクカクさが、絶妙に不気味な造形を作ってましたよね。
リーデッドを無効化できる太陽の歌を手に入れるために、リーデッドだらけの地下に挑まねばならんというあの地獄。
大人時代になってからの、森の神殿も幽霊とか一杯出てきますからね。
もうこの辺でダメでした。
井戸ももう、ダメでしたね。
いきなり降ってくるフォールマスターが嫌で嫌で。
えぇ、当時このゲームをクリアできなかったんですよ。怖すぎて。
心理的障壁と名高い闇の神殿に行く前にギブアップでした。
お友達に涙ながらに返しましたよ、ええ。
私が終盤の展開を知ってるのは、かなり後になってからクリアしたから。
私自身が大人になってから、3DS版でリベンジを果たしたからなんですね。
2011年に発売された「ゼルダの伝説 時のオカリナ3D」で。
なんだったかなぁ、何かのキャンペーンで3DSの任天堂タイトルが1本無料でダウンロードできる機会があったんですよ。
キャンペーン対象タイトルが既にプレイ済みだったものが多かった中で、私が持ってなかったのが時オカ3Dだったんですね。
いい機会だと思って、子供時代のリベンジに挑戦したんですよ。
大人になったことで、だいぶ心に余裕が生まれたようでね。
みんなのトラウマと名高い闇の神殿も、頑張ってクリアできましたよ。
相変わらずリーデッドは嫌いですが、見た目が大きく変わって「アレ、こんなもんだっけ?」と思ったものです。
ついにはラストまでクリアできましたよ。ガノンまで倒せましたよ。
あの頃見れなかったエンディングが見られて、非常に感慨深いものがありました。
3DS版は全体的にモデリングが綺麗になっているので、ポリゴンの荒さから来る不気味さは程々に削ぎ落とされてます。
64当時を知る人からは物足りないかもですが、あの頃に挫折した人にはぜひお勧め。
ともあれ一本のゲームを、子供時代と大人時代という、時をまたいでプレイしてクリアするという経験をしたのでした。
それがこのタイトルというのは、ちょっとした運命みたいなのを感じます。
いつ遊んでもプレイヤーの心に残る。
時を越えて語り継がれる名作である所以なのかもしれません。
子供がやると、大きなトラウマを残しかねないタイトルでもありますが。
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