005:スプラトゥーン
【タイトル】
スプラトゥーン
【ハード】
Wii U
【販売/開発】
任天堂
【発売日】
2015年5月28日
◆『TPSの常識を塗り替えたイカ』
プロモーションで大成功したタイトルといえば、私はこのタイトルが思い浮かびます。
任天堂ハードの中ではかなり苦戦を強いられていたWii U。
その中で最大のヒット作となり、任天堂に新たなIPを築くことになったのが、イカちゃんこと「スプラトゥーン」です!
プレイ動画が溢れてる世の中、もう既にどんなゲームかご存じの方も多いかと思いますが、念のために説明。
スプラトゥーンは、4VS4で戦うTPS(サードパーソンシューティング)。
このゲーム最大の特徴は、撃ちまくるのは弾ではなくインクという点。
水鉄砲のようなブキでインクをぶちまけていってフィールドを塗っていき、最終的に「自チームの色の面積が多い方が勝ち」という陣取り合戦のようなルール。
相手チームのインクの上から自分のチームのインクを塗れば塗り返すことが出来るので、常にフィールド上で塗って塗られての激しいバトルが展開されていきます。
もうひとつ重要なのが、操作キャラクターのイカ。
プレイヤーはイカに変身して自チームのインクの中に潜り、泳いで進めるのです。
(ゲーム内の設定的には、むしろイカが本体らしいのだが)
ビジュアル的にもインパクトのある光景ですが、インクがかかっていれば壁だろうと進めてしまう、インクの中に潜んで隠れることが出来るなど、このゲームならでは戦術が、この"イカになる"というアクションひとつでグンッと広がっていくのです。
「ヒトでインクを撃つ」「イカでインクに潜る」
このたった2つのアクションの中に、どれだけの要素が組み込まれているか。
これさえ覚えればとりあえずバトルに参加することが出来るし、とにかく塗りまくれば、それだけでとりあえず活躍できる。
この凄まじいまでの敷居の低さと、インクをぶちまけ合う楽しげなゲームのビジュアルが、多くのゲームユーザーの関心を引き寄せました。
TPSやFPS(ファーストパーソンシューティング)といったジャンルはリアルな銃撃戦に特化しているものが多く、それゆえに敷居の高いイメージをずっと持たれていました。
実際、銃撃戦のなんたるかを心得ていない初心者はあっさり狩られて、結局何も出来ないまま終わってしまうというゲームも少なくありません。
私もその経験があり結構なトラウマになっているので、銃撃戦メインのTPSやFPSのゲームはほとんどやったことがありませんでした。
また、そのゲームジャンルの特性上、現実に近いリアルなグラフィックや血しぶき飛び交う血生臭いビジュアルの方が、臨場感が出るということで好まれる傾向にありました。
ただ、これも苦手な人からすればやはり手を出しづらいものでしょう。私もそんな一人です。
ところが、「スプラトゥーン」はそんな当時のTPSのイメージを、文字通り塗り替えてしまったのです。
狙いが下手で敵を倒せなくても、周りを塗るだけで勝利に貢献できるというルール。
水鉄砲で戦争ごっこをするような楽しげなビジュアル。
それらがすべて、「インクを撃ちあう」というアクション1つに凝縮されて、そのシンプルな構図ゆえにどんなゲームなのか分かりやすい。
その上に、「イカに変身する」というアクセントが加わったことで、誰も見たことのない新しいゲームとして世に生まれたのです。
初めて世間の目に触れたのは2014年のE3。
この時の初報PVで、当時スマブラforWiiUやゼルダの新作が期待されていた任天堂ゲームの話題を根こそぎ持っていきました。
「これは絶対面白い、絶対売れる!」
なんというか、私の中で妙に確信じみた予感がありました。
それだけのインパクトが、初お目見えの時点で十分にあったのです。
そして発売後は、その期待に十二分に応えられるだけの面白さが詰まっていたことがドンドン解明されていきます。
動画投稿サイト各所でのプレイ動画の投稿や、各種攻略サイトの更新、ゲームユーザーによるレビューが山ほど残っているのがその証拠。
「インクで陣地を塗り替える」というアクションが、ゲームユーザーの認識を塗り替えるほどのインパクトを持っていたのです。
◆『敷居が低くて奥深いをどれだけ待ち望んだか』
スーパーマリオにゼルダの伝説、カービィにポケモンにスマブラに…
任天堂のゲームといえば「敷居が低くて奥が深い」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
スプラトゥーンが出た当時はスマートフォン(以下スマホ)向けゲームの台頭により、シンプルで取っ付きやすいゲームというのは世に溢れかえってる時代でした。
が、「ずっと遊び続けられる」「ずっとやり込んでいられる」ほど奥が深いゲームがあったかといえば、まだだいぶ少なかったかと思います。
スマホのゲームは基本的にちょっとした休み時間や電車の移動中などの、いわゆるスキマ時間で楽しめるものを前提にして作っているものが多いです。
数分でちょいとプレイして、スタミナ無くなったらまた仕事に戻って…という具合にですね。
これは日常的にスマホを使うという現代のライフスタイルに合わせたものですから、短時間でサッと成果が出るように出来ています。
それ自体はゲーム作りとして間違っていないとは思います。
ですが、長時間連続でプレイして飽きが来ないようにするというのが難しいというケースが多いです。
基本的に単純作業を行うものが多いですから、長時間連続でプレイすると作業感が強くなってだんだん飽きてしまうのです。
毎日数分しかゲームをしないという感じであれば飽きが来るのも遅いのでしょうが…
私のようにゲームが好きで、1日1時間以上はゲームしないと死ぬわ~って感じの人からすれば、ずっとプレイしていられるゲームという存在はまさにずっと待ち望んでいたものでした。
そんな時代に現れたこの「スプラトゥーン」は、サッと遊べるしずっとやり込むこともできるゲームとして期待されていました。
そして実際、その期待に応えられるだけのものがあったのです。
(近年はスマホ向けゲームでもずっとやり込めるよう工夫しているゲームも多数出てきていることも留意しておきます)
◆『心を突き動かされなイカ?』
このゲームの基本は「ヒトでインクを撃つ」と「イカでインクに潜る」。
このたった2つを覚えればもうゲームに参加できますが、この2つのアクションに様々な要素が組み込まれているのです。
インクを撃つというアクションには、自分のチームの陣地を広げると同時に、自分のチームの行動範囲を広げるという意味があります。
プレイヤーはイカになって自分のチームのインクに潜ることで、武器のインクを補給できます。
また、相手チームのインクには潜ることが出来ないばかりか、上に乗るだけでどんどんダメージを受けてしまうという特徴があります。
つまり、陣地を取れば取るほど有利に働くようになっていくのです。
ところが、相手チームのインクは上から塗るだけで簡単に塗り返すことが出来てしまいます。
さっきまで自チームの色で染まってたエリアが、10秒後には全部塗り替えされていた、なんてことも珍しくありません。
3分という制限時間の中で、何度も塗って塗られての攻防が繰り広げられていきます。
この攻防がとにかく熱いのです。
たとえば、インクを撃って相手を倒せば、倒れたプレイヤーはスタート地点に強制送還。
すぐに復活しますが、通常なら復活まで約7秒。
この動けないたった7秒間の間にどれだけ勢力が変わってしまうのか…
じゃあ敵を倒しまくればいいのかと思えばそうでもなく、誰もいないエリアを見つけてこっそりと陣地を塗っていくという戦法も取れたりします。
さらに、「イカでインクに潜る」というアクションが戦術の幅を広げます。
インクに潜って泳げば、ヒトの時の約2倍の速度で動くことが出来ますが、何より自分のインクが塗られてあれば"壁だろうと登れる"というのが大きな特徴でしょう。
壁やコンテナにインクを撃ち、その中をススイと泳いで登っていく。
この立体的な行動範囲の広さが、このゲームの攻防をより盛り上げていくのです。
高いところを取るのが有利なのは常識ですが、そこに上るためはインクを撃って壁に道を作らなきゃいけないし、上から攻撃しようとしても実は真下に攻撃できないという弱点があったりと、高所を巡る戦いでも高所完全有利とはいかないのがミソですな。
イカでインクに潜って静止していると、相手からは全く見えないという特徴があります。
文字通り潜むことが出来るわけですね。
インクの中で待ち伏せして、敵が近づいたらバッと飛び出して攻撃!そんな戦法もあるわけです。
とはいえイカにも弱点は結構ありまして、イカになっている間は攻撃が一切出来ない、インクに潜っていても動くと水しぶきが立ってすぐバレる、など。
イカとヒトを目まぐるしく切り替えながら戦っていくわけです。
ついでにもうひとつ、イカになっての「スーパージャンプ」というものがありまして。
WiiUのゲームパッドには、常にマップが表示されており、塗られたインクもはっきり分かるようになっています。
自分のチームのメンバーがどこにいるかもすぐ分かるのですが、味方のアイコンをタッチすることでそのプレイヤーの元まで、ロケットのようにぴゅ~っと飛んでいくことが出来るのです。
ステージが結構広いこのゲームにおいて、味方の救援に即座に駆けつけることが出来る強力な移動手段ですが、これも弱点がありまして。
着地するポイントは相手チームにも見えてしまうのです。
迂闊に飛べば見事な着地狩りをされて即アウト。
何でもかんでもやればいいってもんでもないと思い知らせてくれます。
3分という戦いの中で、テレビ画面を見ながら、時にはパッドに目を落として状況を確認しながら、塗る・戦う・逃げる・潜む・飛ぶという行動を何度もすることになります。
インクをお互い塗り合うことで戦況は常に変わり続け、タイムアップのその瞬間まで気が抜けないのです。
…とまぁ、既プレイヤーからすれば今更な情報をズラズラと並べましたが。
究極のところ、このゲームの人気の秘密は、これらのアクション1つ1つが、とにかく気持ちいいことだと思っています。
インクをドドドドッと撃ちまくると気持ちいいし、ステージが自チームの色のインクでどんどん塗られていくと気分がいい。
イカになってインクの中を泳ぐと、意外と快適に進んでつい泳ぎ続けたくなるし、壁を登ればステージを縦横無尽に動き回れるのが気持ちいい。
スーパージャンプで高いところへ飛ぶと気分爽快。
敵の倒し方も色々で、遠くから狙撃したり、潜んで待ち伏せしたり。
うまくいけば敵が派手にインクをぶちまけてくれるので気持ちいい。
ついでに、やられてペラペラになったイカが飛んでいくのを見るとニヤニヤする。
1つ1つのアクションがプレイヤーの手応えとして気持ちよく残る、というのは任天堂のゲームの強みとしてよく話題に上ります。
この「スプラトゥーン」は、まさにその得意分野をこれでもかってくらい発揮したゲームだと言えるでしょう。
私はゲームの面白さとは、"どれだけ心を動かせるか"だと思っています。
単純にストーリーで感動したとかそういう話ではなく、1つの動作に伴う"気持ちの揺らぎ"をどれだけ起こし続けられるか。
それが"飽きが来ない"ゲームだと思っています。
先述のインクを撃ちまくる"気持ちよさ"や、敵を倒した "高揚感"だけでなく、敵にやられた"悔しさ"や、潜伏しているときの"ドキドキ"、不意打ちされた時の"驚き"、陣地が塗られていることに気付いた時の"焦り"、結果発表の時の"期待感"や、得点を稼いだ"達成感"。
あとはキャラクターが"可愛い"とか、BGMが"イカしてる"とか。
こういった"気持ちの揺らぎ"が、1試合3分という短い時間の中でどんどん展開されていく。
俗っぽい言い方をすれば、アドレナリンが出まくっている状態になるわけです。
だからつい夢中になってやってしまう。
もう1試合…と思わずリトライしてしまう。
3分区切りだからやめる時はスッとやめることが出来るし、オンライン対戦は24時間営業なのでいつでも試合に臨むことが出来る。
短い時間でもすぐに楽しむことが出来るし、やろうと思ったらずっとやり続けてしまうのです。
加えて実際のプレイでは、各プレイヤーの持っている武器や装備、対戦するステージという要素が複雑な相性を生み出します。
オンライン対戦は入る部屋も組むチームメイトも基本的にランダム。
だから同じ戦法がいつも通用するとは限らない。
たまには違う武器や装備を使ってみると、相手の戦い方が分かるようになったり…
プレイを続けていくことで、自然と様々な戦い方を試してみるようになっているのです。
やり込み要素は単純に数が多いだけではなく、実際にやり込むことで新たな発見が生まれていき、自分が強くなっていくことに繋がっていく要素になっています。
これが"やり込み甲斐がある"ゲームといえるのでしょう。
◆『5周年になりました』
現在はSwitch版の「スプラトゥーン2」が絶賛発売中。
今も世界中のプレイヤーが、ガチで塗り合う日々を送っていることでしょう。
こちらは武器の性能が一新されてるので、新鮮な気持ちでプレイできます。
……が、たまにこの「1」の試合が懐かしくなったりもします。
私は「わかばシューター」という初心者用武器が一番の愛用ブキでした。
初期武器と侮るなかれ、圧倒的な塗り能力とバリアのおかげで上位ランカーでも愛用者が多かったブキです。
復活時間短縮ギアを付けまくったゾンビ戦法と合わせて、とにかく暴れる時間を確保するのがお気に入り。
他にも「ボールドマーカー」という武器も愛用してましたね。
イカ速度アップガン積みからの雷神ステップとか、実に楽しかった。
スクイックリン教には負けない!
基本、塗りが強いブキの方が好みでしたな。
逆にチャージャー(スナイパーライフルみたいなブキ)はどれも使いこなせませんでした……
リッター3Kとか使いこなせる気がしない。
ガチマッチの強さを示すウデマエは最高でSまで上がりましたが、S+にはついに到達できませんでした。
あのS+の壁の分厚さは何なんだ!?
一応、Wii Uのオンラインサービスはまだ継続しており、Wii U版の「スプラトゥーン」の対戦は今でも可能です。
先日、とあるゲーム系情報サイトの記者が、久しぶりにプレイした記事を投稿してました。
そっかー、スプラトゥーンも誕生からもう5年かー。
1の発売から2年後、スプラ2が出た時は、ゲーム内世界でも流行が変化していました。
現実でも近年のゲームの流行り廃りは激しいけど、どうかスプラトゥーンはこれからも廃れずに続いていってほしいタイトルですよね。
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