第4話 会議ではさらに衝撃の事実が

 「というわけで、今週は45億7,000万件の削除が実施されました。

 削除のパーセンテージが、全般に増加傾向にあります。いくつか、戦闘が勃発しそうな地域があり、その関連での増加が目立ちます。また、個人的な小さな案件が重なって、というケースも。普通に暮らすだけでも削減条件を満たすことが、増えているようです」

 「はい、ありがとうございました。では次、本日の議題その1。特典付与者選出の、最終決定におけるAI導入について―」


 「「AI???」」

 「しっ!」

 思わず上げた声をすかさず芽里に制され、シュウとショウは慌てて口を噤んだ。だが、動揺が止まらない。それから小声でひそひそと、

 「こんな世界にも、IT化の波かよ?」

 「摩訶不思議な存在も何も、あったもんじゃなくない??」

 と囁き合い、芽里の咳払いで黙らされた。


 「はい、では、採決を―。

 …ありがとうございます。導入の方向での検討が決定しました。

 次、本日の議題2、転生時における魂の増減状況可視化について」


 「え、なに?」

 「可視化だと?」


 「静かに! あのね、人生のどの段階で、どういう理由で魂が増減されたのか、ビジュアル化するツールの売り込みがあったの。

 なんで俺の来世がバクテリアなんだ、とか、納得しない奴も多いのよ。それに、いつの間にか削られていたんじゃ、自分の人生振り返って恐怖を与えて後悔させる…もとい、反省させる機会も無いじゃない? 増加についてもそうよ。自分の一生を見せて、その間に魂が増減する様子がわかれば納得しやすいでしょ?」


 「ああ、ここで公金横領で、ばさっと〇%! とか?」

 「動植物虐待で、致命的! とか?」

 「そうそう、いじめや中傷、ごみのポイ捨てみたいな小さな悪行でも、その都度減っていく様子を目の当りにできて、わかりやすいわよね。ふふっ」


 「そこ! 静粛に願います!」

 「「「はいいぃ!!!」」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る