第19話:秘密の暴露
教室に帰ってからも視線の嵐が止むことはなかった。
これが、八代とかだったらきっといっぱい人が集まって「すごいね!」って褒め称えてくれるだろうに。これがイケメンとの格差。差別よくない。
まあこのなんとも言えない視線は前の振られたら10センチ伸びた人事件で既に慣れている。そのため、奇妙な目で見られても俺の精神がすり減ることはない。多分。
むしろ、視線が気持ちいいまである。もっと俺を見ろ!!
嘘です。見ないでください。
「それにしても今日の新、凄かったね〜。友達の間でも噂になってたよ?」
お弁当を食べながら雫は話す。
雫それは、良からぬ噂だ。俺のことを褒めるものではない。
「たしかにね〜。なんか気持ち悪かったわ。」
「ああ、男の俺からしてもドン引きの領域だ。」
少しはオブラートに包むということを知らんのか、君たちは。
俺だって傷つくときは傷つくんだぞ。ぐすん。
「そ、そんなことないよ!新すごい頑張ってたもん。か、格好良かったよ!」
し〜ず〜く〜。思わず泣いてしまいそうになる。俺の涙腺は雫の言葉に弱い。
雫はやっぱりいいやつだ。
「そ、それより新は生徒会長さんとこ行ったの?」
「ああ、そう言えば会長の生徒手帳拾ったって言ってたな。」
「へえ〜そうなんだ!あのクールな会長の生徒手帳って気になるね!」
まあ、確かにその気持ちもわかる。でも生徒手帳なんて中身誰のでも一緒だと思うけど。会長の場合は例のカード入っていたけど。
「個人情報だからあんまりそういうのよくないぞ?飯食ったらちょっくら行ってくるわ。なんか焦って探してたらしいし。」
「それならもう少し早く返しにいけよ。」
うるせえ。朝返せなかったんだよ。その後は皆んなから変な目で見られるから出るに出られなかった。今は昼休みだからある程度、人が散っている。今がチャンスだ。
ええと確か会長のクラスは3年4組だったよな。ここだ。
「どうしたの?誰かに用事?」
また、教室の前で中の様子を伺っていたら声を掛けられた。さっさと行けない自分の小心さが悲しい。
「会長いますか?」
「ああ、会長なら今生徒会室行くって言ってたよ。」
生徒会室か!昼休みだというのにあの人は生徒会の仕事してるのか。さすがだな。
3年生のクラスから移動して今度は生徒会に向かう。
生徒会室は教室棟とは離れた別棟に存在している。美術室や図書室など集まっているその棟にはあまり昼休みに人通りはない。
「ここだな。」
「ええ、それじゃあまだ見つかっていないんですか?それに昨日のことだって...。」
「ああ、本当にすまない。昨日ことはまた放課後、皆が集まった時に話そうと思う。対処が遅れたのは間違い無く私のせいだ。」
「そんなことないですよ!支部長があそこまで怒っていなければ大丈夫だったはずです!」
ノックをしようとした時、中から話し声が聞こえる。生徒会のメンバーと話しているんだろうか。女子の声が3人。ということはその声の一つは高崎さん...?
や、やばい。緊張して来た。でもいつまでもここに立っている訳にもいかない。それになんだか盗み聞きしてるみたいだし。
拳を胸の高さまで持って行き、ドアを2回軽く叩く。
「失礼します。」
ドアを開くと女子生徒3人が驚いたようにこちらを見ていた。
一人は会長。もう一人はやはり高崎さんだった。そして最後の一人は知らない女子生徒だった。リボンの色から察するに1年生の役員だろう。
「三波君!?」
「や、やあ。こんにちは、高崎さん。」
名前を呼ばれてしまって咄嗟にあいさつを返す。
「き、君は...この前の!君が三波君だったか。」
あれ?なんか噂されてた?確かに最近不名誉な噂が多いけど。
「えっと昨日ぶりです。」
「さ、先ほどの話は聞いてたかい?」
会長が恐る恐る聞いてくる。なにか聞かれてはまずい内容があったのだろうか。
高崎さんももう一人の女子生徒もこちらの様子を伺っている。もう一人も含め、皆かなりの美少女のためそこまで見られると緊張してしまう。
そして高崎さんは今日も可愛い。
「いえ、そのちょっとだけ。何のことかは分かりませんでしたけど。」
「そ、そうか。それならいいのだが。それで生徒会に何か用かな?」
「そのこれを届けに来ました。」
そう言って俺はポケットから生徒手帳を取り出した。
「!それは!私の生徒手帳か!?」
「は、はい!そうです...。」
あまりに鬼気迫る勢いで詰め寄ってくるので思わずたじろいでしまった。
「な、中身は見たのか...?」
高崎さんも緊張の面持ちでこちらを見ている。ということは高崎さんも会長の秘密を知っているのだろうか。
「...い、いえ、その...。」
生徒手帳の中から出て来たカードのことを思い出してしまい、歯切れが悪くなる。
「まさか見たのか!?」
うう。圧が強い。それに高崎さんの視線を感じると余計に緊張してしまう。
「会長、ちょっと!」
俺は先輩を生徒会室の外に連れ出した。
「実は、すみません!俺、あのカード見てしまいました!」
俺は正直に会長にカードを見たことを伝え、頭を下げた。
「や、やはり君は見てしまったのか...。どうしようか...。記憶を消す...?」
会長は下を向きながらぶつぶつと何か言っている。
不穏な内容が聞こえた気がした。え?消すって!?物理的な意味で!?
会長から距離を取るように後退る。
「そ、そのだね。三波君、君は...。」
「すみません!本当にすみません!このことは黙っています!その...会長がそういう趣味があったなんて!!」
「は?」
「会長はその、なんて言いますか...言いにくいですけど、その厨二病ってやつなんですよね...?」
ああ、言ってしまった!会長の隠して来た秘密を本人に暴露してしまうなんて。こんな恥ずかしいことはないはずだ。
「へ!?ちゅうに...?」
「あの、魔術とかなんとかって...。そういう設定なんですよね?その大丈夫です!安心してください!俺も男なんでそういうの分かりますから!俺は、その秘密絶対誰にも言いません。それにあの会長がそういう趣味だったていうのはなんだか意外で...。でもそういうギャップもいいと思います!では!!」
「ちょ!?まっ!?」
言いたいことを全て言って、俺は逃げるように生徒会室を後にした。
ああ、会長すみません。この秘密は死んでも守ります...。
次から会長と顔を合わせづらいな。まあ会うこともそんなにないか。
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