1+1=
中学2年の頃の話だ
どうしようもなくアホだった俺は、
担任から「このままだと、高校どこにも行けないぞ」と耳にタコが出来るほど聞かされた。
家に帰れば、親からも目が合えば「勉強しろ」そればかりだった。
そんな日々を過ごし、学校に行くのが嫌になりだした頃だった。
机の角に落書きを見つけた。
1+1=
「誰だよ、俺の机に落書きしたのは!」
誰かが俺の真新しい机に鉛筆で落書きしていた。
俺は、その落書きを消そうと思い筆箱を開けだが、何故か消しゴムが入っていない。
仕方なく、シャープペンシルを取り出して、答えを書いてみた。
1+1=2
次の日、机の上の落書きは
新しい問題になっていた。
10+10=
俺は答えを書き込んだ。
10+10=20
また次の日も、問題が変っていた。
5-3=
俺は、毎日出される問題に答え続けた。
5-3=2
12-10=2
250+35=285
20×6=120
130×149=19370
・
・
・
毎日俺に出される宿題は、
だんだん難しくなっていた。
解らない問題が出た時は、
教科書を読み返した。
数学の先生に質問をしにも行った。
ある日、俺は
答えを書いたその下にある質問をした。
3x+5=29
3x=29-5
3x=24
x=8
問1
あなた=
次の日新たな問題と昨日の答えが書いてあった。
あなた=未来人
「未来人?ははっ、面白い。」
俺は、それ以上質問はしなかった。
俺は、その未来人のお陰で、
勉強が少しずつ好きになり、
テストでもいい点が取れるようになった。
それは、3年生になるまで続いた。
そんな俺も、無事高校大学と卒業して、
教員免許を取得して、教師としてこの教室に戻ってきた。
昼間はいっぱいいっぱいで気がつかなかったが、机も当時俺が使っていたもそのまま残っていた。
俺は、「教師失格だな」っと思いつつ、
机の角に落書きをした。
1+1=
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