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店の外に出ていた関内が戻ると、紅色は神社の位置を伝えた。藁人形の在りかを探しに自宅の近くまで案内した後、さらにその神社まで同行してほしいという話を彼女に伝えると、
「行きます」
(――あっさりと承諾したな)
ついてこない場合は、こちらからの終了報告のみで依頼内容は達成とさせてもらうがそれでいいか、と圧力をかけるつもりだったのだが。
カフェの外はすでに夜。夕方に店に入った時よりも人の数はさらに増えている。乾ききった風が顔をかすめ、店の中の暖かさに慣れた頬が引っ掻かかれたようにひりつく。道路にはランプを灯した車が列を作り、乱暴なクラクションが時折響く。
関内は箱を左手に下げて歩く。途中、居酒屋の前で広がっていた男女の一群を避ける。箱が少し当たったのか、外側に居た男がちらりとこちらを見た。
不安定に揺れながら歩く関内の後姿を見ながら紅色は逡巡する。
(不可解なことはまだある。こんな若い女性が二百万をどうやって工面した? 派手なバイトで稼いでいるのか、どこかの御令嬢か――)
移動している間、関内からは一言も言葉はなかったが、しだいに彼女の揺れ方が大きくなってきたので紅色は見かねて、
「箱、持ちましょうか?」
と申し出たが、
「いいです」
紅色のほうを一切見ずに関内は断った。
出発から十五分ほど経つと往来の人並は消え、細い道路が歩道から伸び、その両側にマンションやアパートが立ち並ぶ地区にたどり着いた。
「はい、着きました。この辺りに住んでます。早く探してください」
「わかりました。箱を持ったまま僕から離れないで下さい。何があるか分かりませんから」
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