第250話 ラビットガールズ
人を殺すのに躊躇しなくなったのはいつからだろうか?
なんて愚にもつかない考えをしてしまうくらい聖王国の人間を無感情に殺していた。
まあ、いつからなんてどうでもいいわな。オレが死ぬかお前が死ぬかの状況で躊躇いは死に繋がり、弱ければ搾取される。そんなクソな世界で良心を持つほうが邪魔でしかない。やりたいのならそんな世界にしてからやれ、である。
スコーピオンのマガジンは千発入るようにしてあるので、常にフィーバー状態。誰もオレを妨げることができないで死んでいく。
「ねーちゃん、そっちはどう?」
万能偵察ポッドを通して状況を尋ねた。
「斬るのが忙しくて懐を探ってる暇もないよ!」
昔の残虐さが消えてなくてなによりです。
「大金を狙ってるんだから小銭になんかに気を取られないでよ」
「わかってるよ! ってか、宝物庫はわかってるのか?」
「お城に宝物を仕舞うなら上か下だよ。ねーちゃんは下をよろしく。リンは上を探すから」
「わかった。集中しすぎないように」
通信を切り、次々と現れる聖王国の者を撃ち殺す。
「思った以上に広い城だよ」
広いだけに人も多い。こりゃ、尋ねたほうが早いかもな。
侍従だか文官だかわからんが、事務系っぽい男を捕まえて優しく尋ねた。宝物庫はどこですか~?
「ち、地下です」
「ありがと」
お礼に弾丸をくれてやった。
「……無駄な殺しは止めなさいよ……」
「下らない」
これが無駄な殺しと言うならザイフルグ王国の者は有意義に殺されたのか? 殺されて当たり前と言うのか?
「無駄に殺したヤツは無駄に殺されるんだよ!」
殺したのが兵士だって理屈は通らない。聖王国に所属してたら繁栄も衰退も一心同体。国がしたことは国民にも責任がある。自分は関係ないなんて通じないんだよ。
「撃たれるのが嫌なら撃たれないようにしろ。弱いからザイフルグ王国の者は蹂躙されたんだよ!」
オレはゴメンだね。蹂躙されるのも搾取されるのも許さない。二者択一ならオレは蹂躙し、搾取する側になるよ。
「ウェルヴィーア教の教えはどこにいったのよ?」
「今のオレはただのリン。怪盗残虐姉妹さ!」
ちゃんとローブもピンクにしてウサギの仮面をつけている。ウェルヴィーア教のリンでも魔法少女スズでもない。ラビットガールだ。
「ねーちゃん。宝物庫は地下だって。リンも今からいくよ」
「了ー解!」
未だに尽きない聖王国の者を撃ち殺しながら下へと向かった。
「聖騎隊、構え!」
一階につくと、白銀の鎧に白い盾を持った集団が現れた。
スコーピオンの弾を集中して撃つが、白い盾に弾かれてしまった。
「いい盾持ってること」
いただきたいところだが、今はお宝優先。暇ができたらいただきましょう。
スコーピオンからグレネードランチャーに切り替えて白銀の聖騎士に向けて撃ち出した。
銃弾は弾いてもグレネードランチャーの爆発には耐えられない。おもしろいように吹き飛んでいる。
「怪盗じゃなく押し込み強盗ね」
う~ん。まあ、そうだと言われたら否定する言葉は見つからないです。
「オラオラ、金を出せや!」
怪盗残虐姉妹改め、押し込み残虐姉妹ラビットガールズだ!
グレネードランチャー気持ちいい! とばかりに白銀の聖たちを吹き飛ばし、ねーちゃんたちの万能偵察ポッドの信号を追った。
地下に下りると、壁が破壊され、立派な扉がバラバラに斬り落とされていた。
「ねーちゃん、腕上げたな」
一時期、魔力を上げることばかりしてたが、ねーちゃんには剣の才能もある。きっと女騎士に触発されて鍛えたんだろうな。
「ねーちゃん! お宝はあった?」
扉を潜っても、さらに下に下りる階段があった。
「あったよ! でも、数が多すぎてアイテムボックスに入れるのに時間がかかる」
それは朗報。苦労のし甲斐があるってものだ。
「ここは、リンが引き受けるからアイテムボックスに入れちゃって」
グレネードランチャーの弾も何万発とある。じゃんじゃん撃ったるわ!
「いや、崩れるって」
なら、崩して入ってこれないようにしますかね!
じゃんじゃんバリバリ撃って瓦礫で道を塞いだ。
「しばらくお待ちくださいだ」
グレネードランチャーを戻し、地下へと下りていった。
「おぉっ! 凄い!」
思わず口に出してしまうくらい一面が金ピカだった。
「さすが大国。収めてあるお宝がハンパない!」
「ねーちゃん、リンも手伝う」
「リン、この剣もらっていいか? すっごく斬れそうだ!」
なんかファンタジーな剣を手にして目をキラキラさせていた。
「欲しいのは持っていっていいよ」
オレはそう言うのより金貨のほうがほしい。兵士たちに給料を払わなくちゃならんからな。
「やったー!」
「喜ぶのはあと。さっさとアイテムボックスに入れて逃げるよ!」
まだまだ奪うものはあるんだからね!
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