第210話 ロリママ
「リンねーのハンバーグ美味しい~!」
「美味しい~!」
我がウェルヴィーア教は、殺生を禁止していない。ケダモノに生きる価値がないのだから殺すしかないのだから殺生を禁止などできないっしょ。神も殺しは許してるんだからな。
「またそんな変な解釈して。主は生きとしい生ける者を愛するわ」
オレも人たらんする人は愛してるよ。そうじゃないのはぶっ殺すけど。
「リンねー! お代わり!」
「ねーね、あたしも!」
にしてもよく食う二人だな。成長の理由はそれか?
もう十歳なのにオレに成長期が来ません。早くロリボディーを卒業したいです。
「母親の遺伝が強いんだから諦めなさいよ。まあ、胸は大きくなるんだからいいじゃない」
自分の胸が大きくなっても嬉しくねーよ! オレは背丈が欲しいの! 一生ツルペタでいいから背に回してくれよ!
オレは女としの幸せも男としての幸せもいらん。人としての幸せを求めるだけだ。
「ボス。わたしもお代わりだ」
こいつもよく食うからロリボディーを卒業しつつある。ほんと、神は不平等である。
「はいはい」
まったく、欠食児童どもめ。お前らの胃は底なしか?
レベルアップしても食べる量まではアップしない。精々、大食いくらいだ。オレなんて鹿肉ハンバーグ二百グラムも食べたらお腹ぽっこりだ。魔力回復薬だって五百ミリも飲めばお腹パンパンだ。
「なんでボキャブラリーが子どもになってるのよ?」
子どもだからだよ。
「食べすぎはダメ」
五百グラム鹿肉ハンバーグをもう三つも食べている。次を食ったらニキロになるぞ。
「ボスと違って動いてるからなわたしたちは」
まあ、三人とも尋常じゃなく動いているからたくさん食うのはわかる。が、さすがにその体でニキロは異常やろ。
「リンねーお代わり~!」
「お代わり~!」
……こいつらの胃にはブラックホールでも飼ってるのか……?
お代わりの大合唱するので鹿肉ハンバーグを出してやる。
「野菜も食べる」
「母親か!」
なぜかリリーからの突っ込み。なんでだよ!
「野菜キラ~イ!」
「キラ~イ!」
まあ、獣人は滅多なことでは野菜は食わない。果物は食うんだけどな。
「じゃあ、リンゴを食べる」
肉食な獣人は体臭が臭くなる。風呂に入らせて押さえてはいるが、それだけでは表面的なものでしかない。根本を解決しなくては臭いままである。
もちろん、リンゴは優しい魔法で食物繊維たっぷりにしてある。女はいい匂いをさせてないとダメな生き物なのである。
「女に幻想を抱いている童貞か」
いや、天使なら幻想を見させろよ。童貞は夢と希望でできてんだからよ。
「このリンゴ美味しい~!」
「もっと食べたい!」
「……なんかしただろう……?」
懐疑的なイビスちゃんは無視してリンゴを出してやる。たーんとお食べ。
計三キロは食った欠食児童ども。ぽっこり膨らんだ腹を上にして大地に寝っ転がった。腕白か。
オレは節度ある食事なので、腕白どもはそのままに風呂の準備に取りかかった。
せっかく二人に奉仕してやるのたがら一緒に風呂に入ってやろう。
獣人は風呂嫌いのが多いが、オレのところに来てから風呂に慣れさせた甲斐があって風呂好きになった。
大自然で裸の付き合いをするのもいいだろうよ。
アイテムボックスから八人用の風呂釜を出し、周りを露天風呂風に整える。外の風呂は景色も大事にしなくちゃならないからな。
前世でいった岩風呂風にしてよく冷えた果物のジュースとアイスを用意する。風呂でのアイスは格別だからな。
「皆。お風呂」
一時間は過ぎたから腹も落ち着いただろうから三人に声をかけた。
「リンねーとお風呂だ~!」
「ねーね、頭洗って!」
「お子さまとかよ」
お前もまだお子さまだよ。あと、二人に手を出したらぶっ殺すからな。
「母性でも目覚めた?」
目覚めてねーよ! 保護者としての役目だわ!
もう羞恥心が生まれてもいい年頃なのに二人はワイルドに服を脱ぎ始め、桶でお湯を頭からかけた。
……羞恥心もだけど、所作やマナーとかも教えないといかんな……。
ローブを脱いで裸になる。
「ボスは相も変わらずお子さま体型だな」
「うるさい」
自分が成長してるからって調子に乗んなよ。野郎になるときチビにしてやんぞ。
体は常に綺麗だが、風呂に入るマナーは守らなければいかない。お湯をかけてから風呂釜に入った。ふひ~。
「リンねー!」
「ねーね!」
風呂釜でスケキヨごっこ(教えたのオレです)していた二人が近寄って来て両腕をホールドする。止めれ。
「百数える」
「はーい!」
「数える~」
「子育てか」
突っ込み組、黙ってろや!
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