シニアのための御伽草子

第1話

シニアのための御伽草子(R-18) その１

　　　　レロレロレロレロ・・・

　　　　どうしたの？

　　　　れるれるｒｒｒｒｒｒｒｒｒｒｒｒｒｒ

　　　　何を言っているのか、解りませんけど…　ジェスチャーしてよ！

　　　　え？何？ダメ？

狭い家に閉じこもっていると爺さんがどこにいても目についてうっとうしいったら

ありゃしない！　

そんなことを言ったって婆さんだってウロウロ探しものばかりして、目障りじゃい。

でもね、結構長い間一緒に暮らしていると、

お互いにある術（すべ）を身につけるようになってねえ．．．

へえ、どんな術（すべ）？

気配を消してしまう術(ジュツ)だよ！　

　突然忍者がぬくっと現れるやつ？　

いえね、その前に忍者がズーとその辺にいるのに、見えていないようにしていること。

気（き）というか気配を透明人間のように見えなく消しているってこと。

お互いに見て見ぬふり、というか長年培った特殊能力。　　　　　　　　　　　　

ある日のこと、爺さんがいつまでたっても帰ってこないから

婆さんはさっさと寝てしまった。

爺さんが帰ってきた音で婆さんが目を覚ますともう外は薄明るくなっていたのさ、

爺さんもだんまりを決め込んでいたし、婆さんもしゃべる気にもならず知らん顔をしてまた寝てしまった。

そして次の日も同じように爺さんは婆さんが寝付いてからそっと出かけて行った。

また明け方近くになってこっそり戻って来たのさ。

婆さんは爺さんがどこに行ったのか気にはなったが、知らん顔をしておった。

婆さんにも知られたくない秘密があったのさ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　…続く