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能登最後のイベントの場所は、能登島の八ヶ崎海水浴場だった。昨夜、考え事をしていたせいで少し寝不足だったが、シオリの水着姿を見た瞬間、俺の眠気は一気に吹っ飛んだ。いろんなバージョンの彼女を見てきたが、やはり水着の破壊力は凄まじかった。このイベントが最後で本当に良かった。俺は心底思った。
今回の件で俺は、「位相欠陥」についてとても興味が湧いていた。文字通り「神」のごとき「謎の存在」すら扱い切れていないような代物だが、それを使うと時空を超えることも可能だという。もし、それができるのなら……ひょっとしたら、過去の大火から石崎の街を救うこともできるのではないか。そう思ったのだ。頑張って勉強してみるか。
もちろんあの「謎の存在」ともう一度コンタクトできれば、一番手っ取り早い。だが……俺一人ではどうもそれは難しそうだ。シオリがそばにいれば、ひょっとしたらまたアレに会えるかも……
しかし、時間は非情だった。とうとう能登に別れを告げなくてはならない時が来てしまったのだ。今度は一家総出で空港に来てくれた。
いろんな意味で、俺の心はシオリと別れがたい思いが溢れていた。それを知ってか知らずか、シオリが俺をまっすぐに見ながら近づいてきた。その視線に熱を感じる。
「カズ兄ぃ、受験が終わったらぁンね、ウチ東京行くさけぇ、ディズニーランド連れてってま」
彼女が顔を赤らめて耳打ちする。
「ああ。俺もまたそのうち能登に来るよ。お前の巫女姿、見たいからな」
「……
シオリの顔の赤みが、さらに増した。
この夏、俺が能登で
そして、俺はどうやら、見事にソレに
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