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 なんだと? 俺たちを殺す気か? やめろ! 絶対にやめてくれ!


 そのまま入力すると、しばらく経ってから、ようやく返事が来た。


 "その者は私に仕える者の末裔だな。その装束もまさしくそれを裏付けている。私もそのような者の命を奪うには忍びない。他に位相欠陥が利用できる時空を探すこととしよう"


 そして、シオリを包んでいる白い光が、すっ、と消え、同時に目の前の文字と扉から漏れていた光も消える。


「……」


 俺とシオリは、しばらく互いに呆然と見つめ合ったままだった。


「こら。君たち、そんなところで何をしているんだ?」


 その声に、俺たちは現実に引き戻される。自転車にまたがった警官が、懐中電灯の光を俺たちに浴びせかけていた。


―――


 次の日は、伯父さんの退院と石崎奉燈祭が重なり大忙しだった。奉燈祭は、キリコと呼ばれる高さ十四~五メートルの巨大な燈籠が石崎の街中を乱舞する、勇壮な祭りだ。そして、その日は石崎の家では親類縁者を招いて宴を催すのが常だった。ヤスも帰ってきて、俺と旧交を温めた。


 夜になり、退院祝いも兼ねた宴が始まった。


 "サカサイ、サカサッサイ、サカサイ、サカサッサイ、ソレイヤサカサー"


 勇ましい祭りの掛け声に耳を傾けていると、イチロウ伯父さんがビール瓶を持って近づいてきた。俺のコップにビールを注ぎながら、彼はにこやかに、しかし、得体の知れぬ圧力を秘めた声で言う。


「そう言えばカズヒコ、お前、昨日の夜シオリを連れ出したんやって?」


 マジかよ……バレバレじゃねえか……


「あ、いや、別に、やましいことはなにも……」俺が言いかけるのを、伯父さんはすぐに遮る。


「なんも! いいげんて! 責任さえ取ってくれればな!」


 ……これは、外堀が埋められた、というヤツだろうか……


 あ、そうだ、伯父さんに聞きたいことが一つあったんだった。


「伯父さん、吉田の家系に、神職だった人っているんですか?」


「おお、よう知っとるな」伯父さんは少し驚いたような顔になる。「俺の母方のじいさんが神主やってんて。その関係で俺のおんも一時期巫女をやっとったことがあるげん。だが、それ以降神職は続いとらんがな」


 ……。


 やはり、そうだったのか……


―――


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