『小さなお話し』 その95

やましん(テンパー)

『ある、未来』

(これは、フィクションです。)



 リニア新線が開通して、すでに100年。


 古い高速鉄道は、維持コストが高すぎて、ほとんどが、廃止されてしまった。


 トウキョウから出発するリニアは、オオサカに停まるだけで、次はハカタまで駅はない。


 以前は、ナゴヤにあったが、いまは、使われていない。


 人類が、いなくなったからである。


 北方向は、センダイにまだ、駅はあるが、停まる便は半分以下で、あとは、サッポロまで、直行する。


 しかし、多くの地方都市は、衰退したのではあるが、人間用住宅地として、生き残りした処もある。


 もっとも、人間は、いまや、ほとんど、移動することはないから、交通手段の必要性は、たいへん小さくなっている。


 電子環境で、実際に会議をしている環境は、すぐにできる。


 脳内に、直接情報や、指示が来るから、携帯電話も、もはや、博物館にしか残っていない。


 脳内時間の調整が可能になったので、月施設あたりとの、バーチャル会議も時間差は感じない。


 火星は、まだ、これからと、いう状態だが、あと、100年もしたら、宇宙服なしで過ごせるようになるだろう。


 ただ、人類がいるかどうかは、わからない。


 人体に必要な栄養は、直接伝送されるから、自然災害(これは、まだ、克服できていない。)があっても、食糧の心配はいらない。

 

 食事は、ほとんど、儀式みたいなものになっていて、体を維持するための、最低限に限られていた。


 しかし、人間は、なにかと、問題を生み出す種族である。 


 宇宙ごきは、人類の絶滅は、当面、回避はしたが、あまりに、扱いずらいので、苦慮していた。 




 やましんさんの細胞から、もと裏政府(現政府)によって複製された、コピーやましんさんは、相変わらず、ねこカフェに通っていた。


 この、不可思議な空間が、じつは、宇宙の維持に不可欠かつ、無意味であることが分かって以来、この状態が続いている。


 しかし、政府は、ここを、次元封鎖することで、穴をふさぎ、別の宇宙からの影響を絶ちきる方策を考え付いたのである。


 そこで、やましんさんに対する、栄養補給は、おとつい、打ち切られたのである。



『ひもじいよ。』


 やましんさんは、そう、つぶやいて、カウンターに突っ伏した。 


 ねこママは、なぜか、昔のままだ。


『あの、異世界ごきのせい、らしい、にゃん。年取らない、にゃんこ。』


『はあ、しなないのも、しんどいね。やましんは、ついに、また、終わりがきた。』


『やましんさんは、いっぺん来たのが、復活したくちにゃんこ。せっかくだから、非常食だしたげるにゃん。もう少し、生きなさいにゃんこ。ほら、異世界ごきが、いっぱい、置いてった。ごき用食にゃんこ。にんげんでも、食べられることが分かってるにゃんこ。にゃんちょっと、まずいかも。』


『はあ、人間は、ごきの食糧を、いただくようになるか。』 


『やましんさんだけにゃんこ。』


『いやあ。それが、秘密結社『あかつきのやみ』からもらった情報では、政府は、不要な人間への、エネルギー供給を、すべて止める気なようだよ。』


『あらま、それは、初耳にゃん。』


 そこに、現在の、ごき大将がやってきたのである。


『よ、来てたか。もう、なまごみだかと、思ったがな。ごき。』


『そんな、薄情な。』


『ごき、ごき、ごき、ごき、いや、すまん。情報、聞いたか? じつは、死にかけの人間を、ここに集めて、一揆を起こそうと思うのだ、ごき。協力してほしい、ごき。』


『え〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️‼️』





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           おしまい  😸





  

 


 


 

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『小さなお話し』 その95 やましん(テンパー) @yamashin-2

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