妹といもうと

勝利だギューちゃん

第1話

僕は、アパートで独り暮らしをしている。

この春から社会人となっためだ。


家からも通えるが、通勤時間を省きたいので、会社から徒歩に行けるこのアパートにした。


よく受かったなと自分でも、思う。


でも、問題はそれではない。


「ねえ、お兄さん。ご飯出来てるよ」


女の子が、僕の部屋にいる。

肉親でもなければ、彼女でもない。


先日知り合ったばかりの、女の子。

女子高生だ。


同居はしていない。

彼女は、ちゃんと実家で生活をしている。


その実家は、このアパートの隣・・・

つまり、このアパートの大家さんの娘さんだ。


なので、彼女の両親も僕の事を知っている。


家賃を安くしてやるから、面倒をみてくれとのこと・・・

何の面倒かわからないが・・・


まあ、家を開ける事が多いので、娘をひとりにしておけない。

誰かにあずけたほうが安全。


ということで、僕が選ばれた。

オーディションでも、したのか?


「お兄さんは、無害だからだよ」

「わからんぞ」

「度胸ある?」

「・・・ありません」


そう、確かにない。


「お兄さん、明日は何を食べたい?」

「言ったら何でも作ってくれるの?」

「いいよ」


料理には自信があるようだ。

実際かなり、美味い。

食生活が偏りがちになる独身男性には、ありがたい。


しかし、年頃の娘を大の男にあずけて、不安にならないのか?

まあ、犯罪になるので何もしないが・・・


「お兄さん」

「どうした?おじょうさん」

「おじょうさんはよして。しおりでいいよ」

「しおりちゃん。どうした?」

「呼び捨てでいいよ。お兄さん」


抵抗はある。

でも・・・


笑顔をふりまく、しおり・・・

おそらくというか、間違いなく兄として見ていると思う。

そうあってほしい。


しおりの笑顔を見ると、実家にいる妹を思い出した。

妹の名前も、詩織(しおり)という・・・


元気かな・・・

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妹といもうと 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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