僕と無人駅と都市伝説
増田ユウキ
第1話 都市伝説って知ってる?
この世には都市伝説というものがある。
誰が言い始めたのかはわからない不思議な出来事が長年伝えられ続けて、今も存在している。
そんな都市伝説の中でも、現在ネットを主流に伝え始められた都市伝説がある。
その都市伝説の名は「マインド駅」。
6月24日月曜日、大学の4限の授業が終わり、大学2年の赤根川春斗は大学の図書館に来ていた。
春斗は大学の授業が終わるとほぼ毎日図書館で読書をしている。読書をしている理由は課題や勉強のためというものではなく、ただ暇だからという理由であった。
どの本を読むかは、適当に本棚を見て回って本の背(本棚に並べられている本のタイトルが見えている部分)のタイトルの部分を見て面白そうと思った本を図書館の二階にある読書スペースで読んでいる。
だが、今日は図書館に入ったすぐのところの新刊コーナーにあった「この世の不思議都市伝説」という本を手に取って2階の読書スペースで読んでいる。
読書スペースには4人が向かい合って座れる席4つと、二人が向かい合って座れる席3つがある。
春斗は窓際の二人が向い合って座れる席に座っている。
「この世の不思議都市伝説」には有名な都市伝説だけではなく、未来人がタイムスリップしてきた、次の日には周りにいた友人たちが全く別の人になっていた、昨日起こった出来事の記憶はあるのに実際にはその出来事は起こっていなかったなどという聞いたことのない都市伝説も書かれていた。
春斗が「この世の不思議都市伝説」を読んでいると、机の向かいから一人の女性が話しかけてきた。
「君、都市伝説って知ってる?」
その発言が春斗には聞こえてきたが、春斗は本を読み続けた。
「ねぇ、ねぇってば!聞こえてるんでしょう」
彼女は自分の発言に対して全く反応をしない春斗の肩を揺さぶりながら言ってきた。
そして、ようやく春斗は本を読むのを止め、彼女の方を向いた。
そこには髪の長さは肩くらいで、顔はかわいいというよりはきれい系で清楚という言葉が似合う女性がいた。
「何ですか?僕に何か用ですか?」
春斗は迷惑そうな表情をしながら言った。
「なんだー。ちゃんと聞こえてるじゃん」
彼女はニヤニヤしながら言ってきた。
「最初は僕に対してではなくて、他の人に言っているのかなと思ったのですが、さすがに肩を揺さぶられたら僕に言っているんだと思ったので…」
春斗が申し訳なさそうに言った。だが彼女はそんな春斗の発言を無視した。
「で、都市伝説って知ってる?」
彼女は笑顔で首を傾げながら言ってきた。
「まぁ詳しくはないですけど、知っていますよ」
春斗がどこか険しい顔で返事をした。
その時奥のカウンターにいた図書室の司書さんが閉館の知らせのアナウンスを始めた。
そのアナウンスが聞こえた瞬間、彼女は焦った様子で席から立ちあがり春斗のことを数秒まじまじと見た。
「私は大学3年の小野寺美咲、続きは覚えてたら話そう」
美咲はそう言うと小走りで図書室の奥の方へ去っていった。
まったく何だったんだ?と春斗は思いながら読んでいた本を元のあった場所に戻し、図書館を出た。
春斗は自宅に帰ってから美咲の言葉がずっと疑問でいた。
なぜ突然「都市伝説って知ってる?」なんて言うことを知らない相手に言ってきたのか。
まぁ考えても疑問が解決するわけでもないしな。と春斗は思い、布団をかぶって寝ることにした。
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