流転の極みだ

言葉は音速にて生まれ死ぬ

連鎖し色を変えてゆく

ただし符合を起こせば結晶化

半永久的なポーズで留まる


風が吹くとき

心は震えのサインをもって

伝播し体に訴える

凹か凸かの波を寄越して

不安定さの関数を問う


命はどうか

叙情はあれど情景はなく

美しくも非効率

奏でるだけでその場しのぎだ

ワンパターンを抜け出せぬ


刹那的なものごとは

冷たい宇宙を切り貼りすれば

またたく星が起爆して

そのうち点が線になるから

とにかく星河を泳いで渡れ


きみ去りし後は

なんの変哲もない日々と

馥郁たる刻が交差して

隙間を涼で満たすだろう

シネマのような無限の幕引き


電気信号の氾濫を

受け止める手は麻痺をして

無感情になお枝分かれをする




20201024

第92回 詩コン『涼』 佳作

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