ぼくという存在の定義の危うさは

温暖化で融けゆく永久凍土に似て

ウロボロス的な円環にはまり込む


抱えたガスを無遠慮に散らかして

自分は融けるだけなど耐えがたい

だれにも知られず融けていくのか

このまま無価値に死ぬだけなのか


どこかでたたずむ百葉箱の疲れた塗装は

やがて沈むダム建設予定地の朽ちた立札

故意にきみが知ろうとしない現実の真実

寒い夜に極光の蛍光グリーンを思い泣く


決めつけられた価値感を被り

押しつけられた配役ですごし

飽いたら捨てられサヨウナラ

人に回帰したところでひとり


ぼくという存在の定義の危うさは

温暖化で融けゆく永久凍土に似て

ウロボロス的な円環にはまり込む


なんということだ

なんということだ




200729

第81回 詩コン 『辛』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る