星になるという言葉。それは、未来の終焉を意味している。なにかの成就か死を指すことで、よくある例えになるだろう。


一方、星の彼方を目指すというのは、時間遡行をするのと同義だ。今見えている星の光は、過去のものだと言われているから。


きみが好きだと言う夜空の星は、言ってみれば炭素でしかないダイヤモンドよりも儚いものだよ。ついそう言いかけて、言葉を飲み込む。人のロマンを無神経に傷つけたくない。


光速度でさえ幾年もの時差を生むほどに離れたスケール感と、きみの紡ぐ言の葉は、突拍子もない羅列でとても素敵だ。まるでサイケデリックなパルティータ。


アシンメトリな幾何学模様が別のなにかに見える日は、どうか思い出してほしい。星座を線で結んでいった、ぼくとの旅を。


彼方から続いているきみは星だ。誰かがちゃんと見つけてくれる。今を生きているきみも星だ。経て来た過去できらめいている。


途方もない距離を歩いた軌跡は、

きっとなにより光るだろう。



200715

第79回 詩コン『遠』

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