憎まれ役をやったのは誰だ?

ナマケモノ

1-1 取り調べ

 山田太郎はタクシーから降りた。 駅からタクシーをひろい20分かけてやってきた。 雪はポツポツ降っている。

 足跡が2つある。 先に同級生の2人は来ているようだ。 山田は歩く。 ゆるい坂道を歩いていく。 歩く度にズサッズサッと音がなる。 周りの木には白い雪がついている。 視界には枝から重さに耐えられずに雪が落ちていく。 山田は10分かけて、コテージに着く。 息があがる。 雪の中を進むのは疲れるうえ、昨日あんなことがあった疲労がある。

 山田は五段の階段をのぼりドアノブを回す。 入ると静かに2人が木のイスに座っている。 坂上哲也がよっと小さな声で左手を上げてあいさつする。 松本二郎は山田を見て、左手をあいさつをするだけだった。

 山田は口を開く。

「警察はまだ来ていないの?」

「まだ来ていない。道路が混んでいるんだろう。」 松本は答えた。

この二言で沈黙が続く。 沈黙の時間が続き、どれくらい経ったころだろうか。

 出入口のドアが開く。

 1人は寒そうに手をこすり、片手を握り息を吐く。 もう一人は頭をかく。

 山田は昨日会った刑事のふたりだと見る。 頭をかいた刑事は指を指して、ニヤリと笑う。 

「殺害された村上勇気がいた部屋でひとりずつ聞こうじゃないか。 俺と相棒できく。 その間に逃げたら犯人としてそいつを犯人として疑う。 いいな!」

「先輩、ニヤリと笑うのはよしてください。 正直、気味が悪いです。」

「悪かったな。 事件が久しぶりにきたんだ。 わくわくするだろう。」

「不謹慎ですよ。 人が亡くなっているんですよ。」

「おめえはいつもそうだな。」

「先輩も同じじゃないですか。」

 山田は思う。 上田刑事のことが何を考えているのか分からない。 気味が悪い刑事だ。 田中刑事は常識のありそうだ。

「俺と相棒は先に入っている。 準備が出来たら山田太郎から入ってくれ」

「はい」と山田は緊張した声で答えた。

 上田刑事と田中刑事は中に入った。

 同級生の2人は黙って座っているだけだった。 山田は足がすくむ。 村上を殺害してないとはいえ、刑事から取り調べを受けることが初めてのことだ。 自分が何か悪いことをしていないのにそんな錯覚していた。

 山田はドアノブに手をかける。 手汗がひどい。

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