私が痛風になった日
皆さんは「三大激痛」と言う言葉を聞いたことありますでしょうか。
まぁ、この「三大激痛」と言うのは探してみると色々と諸説あるみたいなんですけど……その中の一つに数えられているものがあります。
それが……「痛風」ですね。
これは私が痛風になった日の話です。これは尿管結石になる前の話ですね。
これも本当に、ある日突然、何の前触れもなく、唐突に起きます。
前触れの無さ……と言う意味では尿管結石と同じくらい前触れが無かったです。
いや……今考えると、前触れの無さは結石以上でした。
今でもその日の事は良く覚えています。
私が一人暮らしをしている最中……それは起きたのです。
仕事のある平日……私は突然発生した足の痛みで目が覚めました。
それはもう激痛で……布団が触れるだけでも激痛で、いきなりなんだと驚きつつ布団を剥ぎ取ります。その剥ぎ取った際の衣擦れすら足に激痛を起こすのです。
そして……痛みの走る左足を見ると……左足が真っ赤に……それはもう真っ赤に腫れていました。
普段の二倍くらいは腫れていて、足首が無くなるくらい腫れていました。象の足みたくなっていたんですね。
少し動かしても痛い、どころか何もしなくても痛いという状況に私は困惑しました。
でもその時には「痛風」と言う単語は頭には出なかったんですよね。
タイミングも悪くて、前日に運動をしていたんですよ。だから、その運動の時に足を捻挫したのかな? とか、その程度で考えていたんです。
でまぁ、捻挫程度なら……仕事を休むことも無いかなと思い、準備するべくベッドから降りました。
そして転倒しました。
地面に触れた時の足のあまりの痛みに、立っていられず転倒しました。
いやもうね、ほんと立ってられないの。
足が地面に付いた瞬間、脳天まで直撃するような激痛!
布団が乗っていても痛いっていうことから察するべきだったんですけど、捻挫なんて比じゃないくらい痛いんですよ。
なにこれ? え? 骨折した?
腫れ方とか痛みが、骨折した時と似ているというか……いや、痛みはそれ以上だったんですけど……とにかく骨とか筋肉に異常が起きたのかとその時は思ったんですよね。
とりあえず歩けなかったので……這って動きながら携帯電話から会社に連絡して休みをいただきました。そして、近辺の整形外科を探したわけです。幸い、忙しい時期ではなかったので休みはあっさり取れました。
幸い病院は近所で見つけることができたので、パジャマのままで行くのは躊躇われたので着替えるわけですが……痛くて立てないわけですよ。だからどうやって移動したかと言うと……。
ジョジョに出てくる「乙雅三」って知ってます? 背中を見せたら死んじゃう男で、背中を見せないために家内では背中を地面に向けた状態で這って歩くわけですよ。
それの足が使えないバージョンを想像してください。
それが痛風の時に家内で私がしていた移動です。
多分、見たら気持ち悪い動きだと思うんですよ。でも、立ったら痛い。いや、這っても痛いんですけどその方が痛みが少しはマシでして……。
そんな状態で着換えをタンスから取って着替えたわけですよ。
一番きつかったのは靴下ですね。
結論から言うと靴下は履けませんでした。靴下履こうとして泣きそうになるとか初めての経験でしたよ。
ただまぁ、流石に屋外ではその移動はできないので意を決して立ち上がるわけですよ。いや、もう……立ち上がる時が一番きつかったですね。
今でも覚えてます。
まずは張ってベッドまで移動して……ゾンビの様に上半身だけをベッドに乗せます。それからゆっくり……本当にゆっくりとベッドに腰掛けます。
それから痛くない方の足を地面につけて……痛い方の明日はほんの少しだけ地面につけようとします……。
足が地面に触れるたびに激痛ですが、今度は覚悟していた分……なんとか立ち上がることができました。
そして病院への移動です。当時は貧乏でタクシーなんて使うことを選択肢に入れてなかった私は、とにかくこの痛みに耐えて歩いて行こう!と無謀な決意をしていたわけですね。
靴は履けないのでサンダルで……。これも苦渋の選択でした。
靴を履くと靴の圧迫感から足に痛みが走り、サンダルだと空気の流れて足に痛みが走る……。
どっちにしても足が痛い。
今だからこそ言えるわけですけど、痛風ってホントに空気に触れるだけで痛いんですよね……。当時は「いや、コレ骨逝ったよね絶対」とかそんなことを考えていたわけですけど。
それから私は、息も絶え絶えに病院へと歩いて移動します。ほんと、無謀でした。今なら絶対にタクシーを使います。
そして到着した整形外科……私の足の状態を見かねた病院の方が車椅子を貸してくださいました。それでも移動中は痛いんですけど、自分で歩くより何倍もマシでした。
車椅子は、昔使ったことがあるので慣れたもの……とにかく私は診察を待ちました。
足の状態を見た先生はレントゲンを撮ってみようと言ってくださり、まずレントゲンを撮ります。
レントゲンの結果……異状無し……。
次にCTを取ることとなりました。幸い、予約は不要とのことですぐに撮れたのですか……そちらも結果は異状なし。
骨にも筋肉にも異常は一切なく……。だけど病院の先生はCTの結果を見てこう言われました。
「……これ痛風かもしれませんね、血液検査してみましょうか。1時間ほど待てます?」
私はそのまま血液検査に同意します。なんでも、尿酸値を見るのであれば当日で結果が分かるのだとか。とにかく痛みの原因が分かるならと私は血液検査に同意して、その結果を待ちました。
そして血液検査の結果……尿酸値は何と……8と上回っていたのです。
その時に病院の先生にCTの結果と共に色々と言われたのですが、今ではもうその辺りの記憶はおぼろげです。とにかく、私の尿酸値が高いこと、これは痛風の発作であることを告げられたことした覚えていません。
それから痛み止めをもらい、尿酸値を下げる薬を飲むように言われて色々なお薬をいただいたわけです。
でも、ここで私には一つの疑問がありました。
なんで私は痛風になったんだと?
当時は痛い足を引きづってでもタクシー代をケチるくらい貧乏だった私が、何故、痛風に?
ビールも飲みません。と言うかビール嫌いで飲めません。
贅沢な食べ物も食べてません。
とにかく食費を抑えるために自分で弁当をこさえているくらいでしたから。
それくらい貧乏な私が痛風? 何の冗談だと?
とにかくショックで、何が悪かったのかと徹底的に調べまくりました。そして……一つの驚きの事実を知りました。
私が痛風になった原因は、その貧乏な料理のせいだったようなのです。
当時の私はとにかく安い食材で、そして買った食材はとにかく無駄なく使うという事に重点を置いていてまして……その中の一つ……鰹節……この使い方に問題があったわけですね。
鰹節の100g当たりのプリン体の含有量は数ある食材の中でもトップクラスです……。
その鰹節ですが、私は出汁を取った後にも甘辛く醤油と砂糖で味付けして使ってたんですね。いわゆる佃煮ですか。
顆粒使ってたらそんなことにはなってなかったんでしょうけど……無駄に凝ったせいでそんなことになってしまってたわけです。
普通にご飯に乗せて食べたりはもちろんのこと。
ご飯に混ぜておにぎりにしたり。
納豆に混ぜて食べたり。
かけうどんに乗っけたり……。
とにかく、鰹節を使って、日々の食に満足感を得ようとしていたわけです。
さらに夜は毎日、納豆です。
鰹節の佃煮と、納豆……納豆も割と含有量が高いわけですよ。
それをほぼ毎日……。
毎日の味噌汁、ごはん、納豆、鰹節、キャベツの千切り……。たまにお惣菜は買ったりしてましたが、とにかく鰹節は必ず毎日の食卓に上っていたわけです……。
そりゃ、そんな食生活してたらビール一滴も飲まないのに痛風になりますよね。と、一人納得していました。
ただ本当にこれが原因だったのかは謎ではありますが、原因としてはこれくらいしか思いつかなかったんですね。
幸いにして痛風の痛みは1日で引いてくれたのですぐに仕事には復帰できましたが……それから数年、薬を飲み続ける生活がスタートするわけです。
痛風とはいまでも、もしかしたら、贅沢するから起きる病気だと思われがちかもしれません。ビールを飲む人特有の病気だとおもわれてる方もいるかもしれません。
でも実体験を得た私は声を大にして言いたい。
「ビール飲まなくても!! 貧乏でも痛風にはなるんだ!!」と……。
いや、自炊とはいえ偏った食生活をしていた私が悪いんですけどね。完全に自業自得です。
それからは食生活を改めて、鰹節を使うことを減らしました。出汁もなるべく昆布出汁、納豆も毎日から少し抑えめにして……水も沢山飲むように心がけたわけです。
ちなみに発作が出たのはその時の1回だけで、幸いにして今は薬を飲まなくても尿酸値が安定するという状態になっています。
これは病院の先生から教えてもらったんですけど、薬をある程度の期間のみ続けて尿酸値が安定したら痛風が治癒したとみなして良いのだとか。
もちろん今も、半年に一回は病院に行って血液検査をしていますが……数値は安定しています。
まぁ、この数年後にまさか尿管結石で苦しむことになるなんて私は思いもよらないわけですが……。あんまり尿酸値と結石って関係が無いんですかね……?
こうして痛風になってしまった私ですが、一つだけ……この痛風の利点が発生するようになりました。
それは飲み会の席で
「痛風持ちなんで、ビール飲めないんですよ」
と、ビールを上の人からも断りやすくなったことですね。もともとビール嫌いなので、これだけは良かったと言えます。
ビールが苦手な皆さんも、飲まされそうになった際にはこう言ってみてはどうでしょうか?
「痛風が怖いんで、ビールは遠慮します」とね。
嘘は言ってないでしょう。誰だって痛風は怖いですからね。
実際に持っているかは関係ないです。痛風は、誰にでもある日突然起こりうる病気ですから、怖いと思うのは当然です。
とりあえず、ビールを無理に飲まされる被害者が減ることを祈って、私が痛風になった話を終わりたいと思います。
うん、話の趣旨が最後に変わりましたね。でもまぁ、本当……健康は大事です。
皆さんは、健やかな生活を送れますよう……祈っております。
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