私の病歴を紹介してみます。良ければ見て笑ってやってください。

結石

私が尿路結石になった日

 私の小説投稿サイトでの名前は現時点で「尿路結石」としております。


 「なんでそんな名前に?」と言うお言葉をいただくことがあるのですが、これには以下の理由があります。


 まぁ、投稿するにあたり名前に何かしらインパクトを持たせたいのと、私の中で一番痛かった時の記憶を、小説を投稿するという行為を持って笑い飛ばすために付けた……。


 えぇ、嘘です。実はあまり大きな意味はありません。


 ただ何となく付けただけです。


 まぁ、おっさんが格好いい投稿者名を名乗るのを恥ずかしがった結果……ネタに走ってしまったと思ってください。


 さて今回、ノベプラさんで「心と身体」と言うテーマの投稿フェアをされるという事でしたので、ちょうどいい機会ですので私の名前の由来となった……私が尿路結石になった日について……覚えている限りの事を記載します。


 身バレを防ぐために若干のフェイクは入っておりますが……ほぼノンフィクションです。


 若干汚い話とかも出ますので、読む際にはご注意ください。


 良いですか? ブラバするなら今のうちです。


 ……はい、大丈夫なら以降をお読みください。


 その日はなんでもない、本当に何でもない日でした。


 別に朝から体調が悪かったとか、数か月前から身体がだるいとか、別な病気の治療をしてたとか、仕事で無理をし過ぎていたとか……そんなことが一切ない、普通の日でした。


 そんな普通の日に、それは起こったのです。


 その日、昼休みにお弁当を食べ終わった私は……普段は適当なところでのんびりとしているか、コンビニに立ち読みに行くかとか、適当なことを過ごしているのですが……その日はいつもと違う痛みが唐突に私を襲ってきました。


 腹痛かな?


 そんなことを思い、私はトイレに籠りましたが……何も出てきません。大も小も出てきません。でも、お腹が痛いのは続いています。


 おかしいな? 痛い……でも出ない……そんなことを考えていたら、痛みの源泉が違うことにそこで私はようやく気が付きました。


 痛みはお腹ではなく……腰のちょうど右後ろ側……背中側から来ていたんです。


 背中が痛いのを腹痛と勘違いする……って言うのがまずありえないと思うでしょうが、その時は私はお腹が痛いと思ってトイレに籠っていたんです。非常に間の抜けた話です。


 そして浅はかなのはここからです。


 その時の私は「背中が痛い」=「ちょっと腰を変に捻ったかな?」程度にしか私は考えなかったわけですね。


 だからそのまま、仕事を続けました。痛みは強くなっていますが、筋肉とか筋とかを痛めたのだろうからそのうち治るだろうと考えて放っておいたんですね。


 それが間違いでした。


 痛みを放置してから約30分後……私はその場から一歩も歩けなくなりました。


 正確に言うと、歩けるんですが……歩くたびに今まで感じたことのないような激痛が腰から全身に走るわけです。


 こんなのははるか昔……背骨に注射針を入れられた時以来の事でした(その辺の話は別で投稿したいと思います)


 それでも私は、錆びたブリキのおもちゃの様に、ゆっくりゆっくりと……歩きます。


 そして一言……上司に向かって口を開いたのです「そ……早退させてください」と……。


 その時、喋るのも痛かったのを覚えてます。


 私の様子を不審に思っていた上司は早退について快く承諾してくれました。それどころか……私の行動の様子から「泌尿器科に行け!」と言ってくださったわけです。


 私は腰の痛さから、ぎっくり腰かと思っていたので整形外科に行こうとしていたんですけど……それは意外な提案でした。


 そのままタクシーを呼んで、着替えることもできなかったので仕事着のままで私は泌尿器科へと移動しました。


 その移動で一番つらかったのは……階段の移動でした。


 降りるたびに激痛です。


 平地は何とかすり足で移動することで痛みを軽減できたのですが、階段はそうはいきません。


 一歩……一歩と降りるたびに休憩を挟みます。


 痛い……激痛……と僅か二文字で表現しても、どれだけ痛いかきっと伝わってないかと思うのですが……これが本当に「筆舌にしにくい痛さ」と言うものなのです。


 痛みの中心は腰の一点なんです。でもそこから、波紋が広がる様に全身に痛みが広がる感覚でした。


 これに比べたら、歯医者でやる歯の神経の治療なんて可愛く思える程度の痛み……神経を直接いじられていないのに痛い……比較対象がない痛みなんです。


 それでも何とかタクシーに乗り……この座る時がまた痛かったわけですが……タクシーに乗って病院へと向かいます。


 病院では、割とあっさり診察が受けられる……という事はありませんでした。平日昼間なのに滅茶苦茶混んでるわけですね。


 それでも診察を受けることができて……看護師さんが私に紙コップにおしっこを取る様にと指示されましたので、トイレに行きおしっこを取るわけですね。


 おしっこをする……すなわちちょっとだけ力むわけなんですが……その時にビリィ!!と言うような電気が走るような痛みが走りました。


 私は……痛みで泣くという事を久々に経験しました。だけどそのすぐ後に、涙が引っ込む事態が発生します。


 痛みに耐えて出したおしっこが……見事な「オレンジ色」だったんです。


 今まで見たことのないおしっこの色に……私は呆気にとられました。え? 何この色? オレンジ? オレンジって何?


 混乱する私を他所に、看護師さんは何でもないように紙コップを受け取って、診察室前で待つように指示されます。


 オレンジ……オレンジ……私の頭の中には先ほどの色が繰り返されます。


 腰の痛みにオレンジのおしっこ……未知の病気かと私は不安に苛まれます。この時は「結石」と言う単語すら知らなかったので、今ならそんな不安に思うことは無いんでしょうけど、当時はとにかく不安でした。


 そして診察前……にレントゲンを撮ることになりました(MRIだったかな?)。とにかく、腰のあたりの写真を撮りますと言われて、寝っ転がされたわけです。その都度、激痛です。


 痛みに耐えてよく頑張った! 感動した! とか言われても良いくらい、その時は痛みに耐えてた気がします。


 さて、写真を撮り先生に呼び出されて……診察結果を告げられました。


「尿路結石ですね。ここに石があります」


 先生は写真の白い点を指差して私に告げます。細かい内容は覚えてませんが……これが尿管に詰まっているせいで痛いのだとか。そしてその時に、私は選択を迫られました。


「どうします? 手術することもできますよ? それとも自然に出るまで待ちますか?」


 いきなり出てきた手術のと言うワードに私はビビりまくりです。


 反射的に私は「自然に出るまで待ちます!」と言ってました。後から聞いたんですが、手術は超音波でやるもので、入院も一泊二日程度ですむものだったらしいのですが……。


 それでも手術と言う単語にビビっていた私は薬をもらって自然に出るのを待つ選択をしたのです。


 それから薬をもらって、病院内で痛み止めを即飲み……タクシーで家に帰りました。さすがに戻って仕事をする気にはなれなかったので、そのまま家で大人しく寝てることにしたのです。


 結果的にこの選択は正解でした。会社に戻っていたら大惨事になっていたでしょう……。


 家に帰った私は薬を飲んで、ベッドで寝転がっていました。痛み止めも効いて来たのか痛みも徐々に治まり……まぁ、のんびりするか……とか思っていた矢先でした。


 寝返りをうった瞬間……今までで最大の痛みを私を襲ったのです。


 それは部屋の中、一人で叫ぶほどの痛みでした。たぶん、家族がいたら何事かと思ったでしょうけど、幸い家には私一人で……私は誰もいない家で叫んで身体を身悶えさせていました。


 痛み止めを飲んだのにこの痛み?! と戦慄しましたね。逆に痛み止めを飲んでいなかったらどうなっていたのか……今考えてもゾッとします。


 痛くて痛くて叫び声を押し殺しながら……私は嫌な予感を覚えて、トイレに這うようにして移動します。


 そしてはじめて経験したのです、痛みで吐くという事を。


 痛すぎて痛すぎて、我慢できずに吐き気を覚えて腹の中のモノを全部トイレにぶちまけました。


 吐くたびに腹に力が入り、腰の痛みは強くなりますが、それでも吐かずにはいられず……結局、腹の中が空っぽになるまで私はトイレにぶちまけ続けました。


 と言うか、腹の中に何もなくなっても吐く行為が止まりませんでしたね。それくらいの痛みでした。


 それからしばらく、まるで酔っぱらったおっさんの様に便器に抱き着きながら痛みが治まるまで……その場を動けませんでした。


 結局、痛みで吐いたのは初日のこの時だけでした。


 だけど、翌日からは痛みもある程度引いたので仕事には復帰したんですが……しばらくはびくびくしてました。仕事しても食事をしても……びくびくしてました。


 またあの痛みが来るんじゃないかと……。


 そして、また痛みで戻してしまうのではないかと。


 幸いなことにそんなことは無かったんですが、本当に石が出るまではびくびくした日々を送っていました。


 それから四日後……。


 何か重苦しいものが無くなる感覚と共に、便器から「カツン」と言う音が聞こえたのです。


 そう、石です。石がおしっこと共に出てきたのです!!


 その時の喜びは計り知れないモノでした。それと同時に、出てきた石の形状に恐ろしくなりました。


 皆さんは「金平糖」と言うお菓子をご存じですか? 丸っこい星のような形をしたお菓子ですね。カラフルで色彩豊かでとても夢のあるお菓子ですよね?


 あれのトゲ部分が物凄い鋭利になった、灰色の石を想像してください。それが自分の体内から出てきたのです。


 ゾッとしません? 私はゾッとしました。


 これが……私がはじめて結石ができた時の話です。


 痛みが出て四日目で石が出て……病院へは一週間後に改めて診察に行きました。石が出たことを先生に告げたのですが、腎臓にはまだ二個ほど残っているから油断しないよう言われました。


 水を一日に二リットルくらいは飲んで、食生活にも気を付けるように言われました。


 それから数年経過しましたが、幸いにしてあの時の痛みは再発していません。でも、その数年の間に違和感と共にちょこちょこと石は出て来てたりしてました。


 体質とかもあるんですかね?


 最近「抑石茶」と言うお茶を仲良くなった方から教えてもらって、予防のためにそれを飲んでいたりします。


 これの効果なのかどうかなのかは分かりませんが……幸いにして飲んでからは石は一切出ていません。まぁ、まだ飲み始めてから一年も経ってはいませんが。


 だけど、これを見ている人は覚えていてください。


 結石の痛みはある日突然……何の前触れもなく来ます。そして、あっという間に動けなくなります。


 もしもあなたに唐突にそのような痛みが来た場合、この話を思い出していただけましたら幸いです。

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