刀と剣の復讐ゲーム

賢賢(たかけん)

プロローグ

 血の匂い。悲痛の叫び。そんな物で埋め尽くされた戦場で・・・、

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 少年は、変わり果てた親友を前に嘆いていた。

「なんで・・・、なんでだよぉぉぉ!!なんで俺をかばったんだよ!!」

 目の前で、左腕をちぎられ、あまつさえ、右眼もえぐられている親友は、弱り切ったかすれた声で口を開いた。

「・・・もっ、もう・・・いいんだ・・・。俺は、役目を・・・、実行できた・・・。だから・・・」

「だからじゃねぇ!!」

 親友の遺言のような言葉を遮り、少年は、どなった。

「まだ、・・・まだだろ!!お前が死んだら、お前の姉さんはどうなる!!あの人は、あっ、あの人は・・・・・・」

 途中から、少年は、涙のせいで言葉が出なくなった。それもそうだろう。まだ弱

 ・・

い12歳だ。そんな子供が親友のしに耐えられるはずがない。

「―ふっ」

 すると、親友は力なく笑い・・・。

「お前は本当に、英雄⦅ヒーロー⦆みたいだ・・・・・・・」

 まるで人形のように、目をつぶり、動かなく・・・・・―――――。

「う、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 少年の叫び声は、緑色の空にただ響くだけだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る