愛の海

 どうして殺したと問われたなら、俺はこう答えるだろう。

 いもうとを守るためだと。

 過去に一度、愛は父親だったものに純潔を奪われ、深い傷を残した。そのような輩が今後も現れるに違いない。


 俺はチカを愛していた。だからこその行為だった。


 ついさっきまで活発だった彼女の心臓の鼓動が、今も続いているような感覚がある。

 緊張しているのだろうか。

 自分自身に暗示をかけるように深呼吸する。大丈夫だ……、練習なら何度もやった。この日のために生きていたのだから。


 すっかり冷たくなった愛の白い肌に指を滑らせ、生まれたままの姿にしておく。

 まだまだ成長のし甲斐があるふっくらした胸。

 引き締まったくびれ。

 幼少期の傷跡が残っている臀部。

 触り心地のいい太腿。

 脂肪が少ない筋肉質なふくらはぎ。

 あまりの美しさに四肢を切断して胴のみを保存しておこうと思ったが、やはり昔見たあの光景が一番似合うと思いたい。可能性を信じたいのだろうか。

真っ白なエプロンを身に着け、刃渡りが大きめのナイフを手に取り、白い光った腹に滑らせていく。

皮膚を裂くと同時に鮮血が溢れ出す。脂肪の膜の先には臓器が詰まっていて、まだ生温かく、悪寒がしたが、

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