第47話 ニーナの相談
うーん。疲れた。僕はギルドに戻った。
どうやら僕が自由に行動するのをしぶしぶキモンさんは承諾したようで、あの閉じ込められた部屋を貸してくれるらしい。内側からカギがかからないから施錠はできないけどね。
『マルリード。万が一の為にリムーバルの材料は用意しておけよ』
そうだね。ミルクは常備してるけど、スラポ液の材料も持ち歩くかな。スライムの核は、スライムを倒せば手に入るから明日でも倒しに行こう。
『頼むな』
でも戦闘用の魔法なら手に入れても使わず売るかもね。例えば冒険者とかに。
『冒険者というのは、お金があるのか? そうは見えないが』
人によるよ。ダリリンスさんなんてどうみてもお金持ちでしょう。
『確かに装備は凄いな』
でもダリリンスさんみたいな人は、欲しがらないと思うけどね。確かに凄い魔法かもしれないけど、リスクの方が大きい。
まあ冒険者の手に渡ったとしても悪用しなければ問題ないし、今回回収した女神の雷では、悪用のしようがない。
『そうだな。女神の雷は、今回のモンスターを魔素酔いさせて襲わせている相手に対抗できる魔法だし、役に立っただろう?』
まだ役に立ててないけどね。でも次に襲われても対策できるからね。レベルが11だから半径が自身の身長の11倍になって、かなり広範囲の敵に有効だし。
『そうだな。レベル1のままだと、近づかないと効果がない魔法だな。これはバフの効果もバカにできないな』
うん。そのおかげで魔眼が手に入ったからね。色々面倒な事に巻き込まれているけど、魔眼はいい魔法だから手に入れて良かったって思っているよ。
だけど呪いで人を縛ろうという考えは、よくないと思う。
『そうだな。すまなかった。反省している。魔眼を手に入れたのが君でよかった』
本当にもう、調子がいいんだから。まあ反省しているならよしとするかな。
『本当にそう思っている。変な話、君の様な素直な子が手に入れるとは思わなかったのだ』
はいはい。そういう事にしておくよ。どちらにしてもリレイスタルさん自身は、口を挟む事が出来るだけだからね。
『まあその通りだな。ほらリルが遊んでほしそうにしてるぞ』
そうそうリルも魔眼のお陰でお友達になれたからね。
僕はリルのおなかを撫でると、ひっくり返ったまま4本の足で僕の手を掴み甘噛みをしてきた。なんてかわいいんだ!
「もうリル! かわいすぎ!」
今日は、布団の中でかわいいリルと一緒に眠りについた。
□
「マルリード……」
うん? ニーナ? 僕を待っていた!?
朝になり部屋から出てきた僕に、珍しい事にニーナが声を掛けてきた。
「おはよう。どうしたの? 何かあった?」
「おはよう。ちょっと相談したい事があって」
「何?」
「ここではちょっと……」
え? 他の人に言えない事?
『期待するなよ』
してないから!
「えっと。じゃ草原に行こう」
『大丈夫か?』
たぶん大丈夫だよ。朝だから。
僕らは草原へと向かった。
天気がよくて気持ちい。草原は元に戻っていた。ダリリンスさん達に感謝しないとね。きれいにしてくれた。
「あのね、ジグルさんを助けてほしいの。都合が良すぎるはわかってるわ。でも頼れる人が、マルリードしかいなくて」
『いい人どまりか』
うるさいな。いいんだよ。
「何があったの?」
「新しいメンバーが入ってAランクパーティーになったんだけど、Bランクの仕事でもきつくて。ジグルさんとガイダーさんで何とかこなしている感じなの。だからガイダーさんが話が違うと抜けると言い出して、他の二人もAランクは無理だからって。今、パーティーがバラバラな状態なの。ジグルさん、板挟みになっちゃって……」
「そっか……」
まあそうなるだろうなぁ。
『そうなるだろうな? わかっていたって事か?』
実は、バフはパーティーメンバーにも効果があったんだ。ステータス2倍になっていた。僕が抜けた事により効果がなくなったわけだから、今は半分のステータスになっていると思う。それが彼らの本当のステータスのわけだけどさ。
ジグルさんは、スキルで何とかなっているかもしれないけど、他の二人はそうじゃないから戦闘力が落ちちゃったって事。
『それじゃどうしようもないだろうな』
うん。さてどうしたらいいかな……。本当の事を言っても今更だし、怒らせるだけだろうから。
「あのさ。ジグルさんはどうしたいのかな? Aランクパーティーでいたいのかな? そうじゃないならBランクに落として、やった方がいいんじゃないかな? そうじゃないと、危険だよね?」
「……ジグルさん、今までやってきたメンバーも大切にしたいみたいなんだけど、パーティーランクは落としたくないみたい。だから頑張ってきたんだけど、限界ぽくって」
「わかった。ジグルさんと僕が話すよ」
「え?」
「大丈夫だから。ね」
「ありがとう」
『お人よしだな、君は』
いいんだよ。原因は僕にもあるんだし。
『ないだろう。追い出したのは彼らだ。まったく』
本人がいいって言ってるんだからいいの!
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