第13話 憧れのAランクパーティー

 「偉いわ、来たのね」


 朝食後(と言っても干物を部屋で食べただけ)、リトラさんと一緒にパーティーギルドに行くと、ロロリーさんに言われた。


 「マルリードさんは、Dランク以下だから3班ね。リーダーパーティーは満月の夜。彼らの指示に従ってね」

 「はい」

 「宜しくな、マルリード」

 「あ、はい。宜しくお願いします」


 リトラさんに宜しくと声を掛けられたという事は、彼もDランク以下? うーん見た目はDランクに見えない。あ、リトラさん自体がCランクでもパーティーが低い?


 「やっぱり俺もまだまだだな。満月の夜所属なんだ」

 「え~!? って、なんで大部屋に寝泊りしてるの?」


 満月の夜のパーティーメンバーというのに驚くも、そんな人物が僕らの様な低ランクが泊まる大部屋に一緒に寝ていたのに驚きだ。満月の夜のメンバーは全員Aランク。


 「夜遅くだったら寝るだけだろう? だからたまにあそこで寝ている。挨拶された時、わかっていて声を掛けられたのかと思ったけど、やっぱり違ったんだな」

 「す、すみません。まさかそんな凄い人物が寝ているとは思わなくて」

 「あはは。凄いとは思ってくれるんだ」

 「もちろんですよ! 憧れです」


 そう言うと照れくさそうにしている。


 「でも君が元いたパーティーだってAだろう?」

 「僕が抜けた後の話しじゃないですか」

 「いや、そうじゃなくて。一緒にやってきた仲間がA評価をもらったんだから珍しくもないんじゃないかって事」

 「………」


 まあ、そう言われるとそうだけど。一緒にか……。


 『どうした?』


 ううん。なんでもない。


 「では3班は、村の広場へ移動します」


 満月の夜のリーダーの言葉で僕達は移動を始めた。

 普通パーティーギルドは街にあるが、ここのパーティーギルドは村にあった。街のすぐ横にあるクロチ村。村側の方がモンスターがよく出没するので、街ではなく村に設置したみたい。

 だから今は村には、武器屋など商売を営む外から来た人達もいる。村にしては規模が大きいが、住んでいるのは村人より冒険者の数の方が圧倒的に多い不思議な村になっていた。


 「ご存知の通り、俺が満月の夜のリーダー、ロメイト。右隣がミューリィ。左隣がリトラ」


 満月の夜のリーダーは、動きが素早いと有名だ。碧い髪に黒で統一された装備で、剣も漆黒の剣とダークなイメージ。

 それとは対象に、この集団で紅一点のミューリィさんはファイヤー使い。炎の達人と言われている人だ。初めて目にしたけど、真っ赤なウェーブの髪がもはや炎のようで、華やかだ。

 ロッドは持たずに魔法の指輪をしていると聞いたけど、確かにロッドは持ってないみたい。

 という事は、リトラさんは双剣使いという事だね。短めのカーブした珍しい剣を使うらしい。見てみたいかも。


 「俺がスズミパーティー、ミューリィがコオダルドパーティー、そしてマルリードパーティーにはリトラがつく」


 ロメイトさんがそう振り分けを言うと、一斉にみんな僕を見た。


 『注目の的だな。そんなに凄い事だったのか?』


 はぁ……。ため息しかでない。

 弱い僕がなぜAランクのパーティーにいたんだってことだろうけどね。何せEランクの僕が抜けたら、パーティーがCからAランクになったんだから。


 『それはそれは。俺もそれを聞いたらどんな奴か見たくなるかもな』


 う、うるさい!


 「気にするな」


 ポンとリトラさんが、僕の頭に手を乗せた。優しい気遣いだけど何となく虚しい。


 それにしてもDランク以下のパーティーが少ないと聞いていたけど、僕を入れて今日村に残っていたのが三組だけとは。


 「まあここに万が一ゴブリンが出たとしても大丈夫だ。我々がいるし、武器商人達は元冒険者だったものもいる」

 『君には期待していないようだな……』


 一々言わなくていいから!


 「あ、いや。もちろん、君にも戦ってももらうよ」

 「はい……」

 「というか、一つ聞いていいか?」

 「なんでしょう?」

 「なぜ、そんなにランク差があったんだ?」

 「え?」

 「だから一緒に居て、なぜ君だけランクが上がらなかったんだって事。どんなに弱くても普通は一年やればDランクになるだろう? 試験は受けたんだよな?」

 『それは、私も知りたいな。このステータスだ。戦えば戦力なっていただろう?』


 ジーッと、リトラさんは僕を見て答えを待っていた。

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