第11話 二人で独り言

 いつも来ていた草原を僕は灯りもつけず歩いていた。

 それにしても凄いなぁ。これも魔眼のおかげなんだよね?


 『そうだ。漂う魔素で把握している。便利だぞ。慣れれば振り向かずとも後ろも見える様になる』

 「え!?」

 『しかもはるか遠くまでわかるようになる。目で見るより遥かに良い』


 そんなに凄いんだこれ。


 【魔眼】パッシブ/レベル40

  魔素を見る事が出来る様になる。

  ◆他人が使用した魔法をコピーする事が可能。成功率80%

  ◆耐性:魔素

  ◆この魔法は、シークレット扱いとなり自身の鑑定以外では表示されない。

 『呪い』

  ◆MP消費:随時4,000を取り分とする。

  ◆供給を経つと生命を食らう。


 凄い。最初からレベル30あって、バフの効果でレベル10アップしている。これ呪い無効なかったらMP4,000もなくなったのか。


 『……なるほど。供給を経ったから生命を食われたのか』

 「うん? なんで見えるの?」

 『君と一体だからだろうな』

 「………」


 え~!


 『鑑定を持っていれば、こうならなかったのだろう。ところで君は、魔導士なのだろう?』

 「魔導士……うーん。魔法系だとは思ったけど、攻撃出来るわけじゃないから一応剣士?」

 『剣士? では、傭兵という事か?』

 「いや剣士だけど、採取専門みたいな感じになってる」

 『うん? ではもとから錬金は持っていた?』

 「後付け魔法だよ。取得したばかり」

 『そうか。後、なぜ鑑定の魔法を持っている? これも後付けか?』


 うん? あれ? もしかして簡易魔法の事を知らないのか?


 『いや知ってはいる。魔眼でコピーした魔法は、簡易魔法○○を覚えましたと伝えられていたからな』


 あ、伝えられていたんだ。って、誰に!?


 『頭に響くのだ。ところでどうなのだ?』


 そう言えば、魔眼という魔法をコピーする魔法があるのなら、教えてもらって成功したら魔法を覚えるというのも凄い話だよね。でも実際、鑑定も錬金もそうやって覚えたんだけど?


 『なるほど。どうやら裏がありそうだな』

 「裏!? どういう事?」

 『どこぞの貴族が何かしているのではないか?』

 「貴族って……冒険者協会で行っているんだけど?」

 『冒険者協会? なんだそれは』

 「え!? 知らないの?」


 うーん。何となく話がかみ合っていないような気がしたけど、もしかしてモンスターとかもいない時代だったのか?


 『モンスターならいた。だが、国が募った兵士が討伐していた。私は、回復魔法を魔眼で何とか取得し、兵士としてモンスター退治を免れたのだ』

 「え? そうなの? 今とはだいぶ違うね。今は、貴族制度は廃止されているよ。だけどその名残でラストネーム持ちのお金持ちはいるけどね」

 『ほう。私が生きていた時代とはかなり違う様だな。で、冒険者協会とやらはなんだ? モンスター討伐を仕切るところなのか?』

 「うん。そんなとこ」


 うーんと、僕が知っているのは、冒険者協会は世界各国にあってそれぞれ国の支援を受けて成り立っている。それで冒険者協会は、冒険者登録した者にモンスターの討伐などを依頼して、仕事をくれる斡旋所みたいなところ?

 パーティーギルドで、パーティー登録をすればランク別に仕事が出来るんだ。


 冒険者の特権として、お金を払えば簡易魔法の講習が受けられてそこで使う事が出来れば取得出来るんだけど……。

 コピーとはまた違うと思うんだよね。


 『なんて事だ! お金儲け以外でそういう事を行っているなんて!』


 そう言われてもなぁ。実際に覚えたわけだし。教える事で冒険者協会が得するとは思えないけど?


 『では私の苦労なんだったんだ!』

 「……時代が違うとしかいえない」

 『この時代に生まれたかった』

 「そう? でもお金持ちじゃなかったら冒険者になるしかないよ。つまりモンスター退治」

 『そういえば今いくつだ? いつからモンスター退治を?』

 「今は16歳で、一年前から。孤児院を15歳で出ないと行けないから強制的に冒険者登録させられた」

 『なんと! そういう時代なのか!』


 うん。孤児の人はいっぱいるよ。何せモンスターに親を殺された人って結構いるからね――。

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