第8話 とまらぬ日々

ゆか「ねー、ねー、遊園地行こー!」

かすみ「まだ言ってるの〜。」

ゆか「行こー、行こー、行こ〜っ!」

かすみ「だから、私ジェットコースターとか高いとこ苦手なのっ。」

ゆか「じゃあ、私一人で乗るからさー!」

かすみ「それ、私行かなくて良くない?」

ゆか「一緒に行くの〜!」

かすみ「だからさーっ。」


夏も後半戦。

2人でどこか行きたいという話から、遊園地に行きたいと言い出したゆかだった。

そんな話の数日後。


セイヤ「今度さー。」

かすみ「えっ?」

セイヤ「遊園地行かない?」

かすみ「遊園地?」

セイヤ「嫌い?」

かすみ「この前友達にも誘われて。」

セイヤ「そーなんだ。」

かすみ「私、高いとこ苦手だし。」

セイヤ「大丈夫だってー。」

かすみ「でもー。」

セイヤ「もし良かったら友達も誘ってさ。」

かすみ「えーっ、いいのー?」

セイヤ「もちろん!」

かすみ「じゃ〜、今度聞いてみる〜。」


…遊園地かー。


ゆか「えーっ!?行くーーっ!!!」

かすみ「私はまだ行くとは…」

ゆか「あっ、今何時?」

かすみ「17時半くらい。」

ゆか「あー、休みって早いなー。」

かすみ「私は今まで仕事ですけどっ!」

ゆか「あっ、そんな事より散歩!」

かすみ「えっ?散歩って。」

ゆか「ほらっ!行くよっ!」

かすみ「ちょっと!ゆかちゃーん!」

ゆか「早く〜。」

かすみ「なんで散歩?」

ゆか「いつも行ってるでしょ?」

かすみ「そーだけど、なんで今?」

ゆか「それはね〜。」


わんっ わんっ


ゆか「グッドタイミング!」

かすみ「えっ?なにが?」


わんっ


かすみ「コタローくん!」

男「こんにちは。」

かすみ「こんにちは。」

ゆか「こんにちはーっ!」

男「あっ、あなたは。」

ゆか「花火大会の時はどーもですっ!」

男「あー、やっぱり。」

ゆか「私、ゆかって言います。」

男「あっ、僕、けんたって言います。」

けんた「今更の自己紹介ですが。」

ゆか「えっ!かすみちゃん、もしかして今まで名前知らなかったの?」

かすみ「あっ、かすみです。」

ゆか「名前知らないのに、あんなに仲よかったのーっ!?」

けんた「なんか、今更聞きにくくて。」

かすみ「私も。今更聞けなくて。」

ゆか「なーに、似たもの同士みたいなっ。」

けんた「よろしくお願いします。」

ゆか「でねっ、けんたさん。」

けんた「はいっ、ゆかさん。」

ゆか「今度、私たちと遊園地行きません?」

かすみ「ちょっと!ゆかちゃん!いきなりそんな事、迷惑よっ!」

けんた「いやっ、びっくりしたけど、楽しそうですねっ。」

ゆか「でしょー!あと、かすみちゃんの彼氏と4人でさー。」

けんた「かすみさんの彼氏?」

ゆか「うん。かすみちゃんの彼氏が言い出しっぺなのー。」

けんた「でも、その彼氏さん、会った事ないから僕行って迷惑じゃない?」

ゆか「大丈夫!私も会った事ないしさ、けんたさんは私が誘ったんだしっ。」

かすみ「もーっ!ゆかちゃん!」

けんた「迷惑ですよねー。やっぱり。」

かすみ「けんたさんがよければ、ゆかちゃんも行きたいみたいだし。」

けんた「じゃあ、いいのかな。行っても。」

ゆか「もっちろーん!そうこなくっちゃ。」

かすみ「みんなでなら楽しいかも。」

けんた「僕、この近くに友達いなくて、あまり出かけないから楽しみです。」

ゆか「なーんか、かすみちゃんみたいっ!」

けんた「えっ??」

かすみ「じゃあ、詳しい事決まったら教えますねー。」

けんた「はい。楽しみにしてます。」

ゆか「じゃー、まったねー!」

かすみ「それじゃ。また。」

けんた「はい。またっ!」


ゆか「バッチリ!!」

かすみ「もーっ、ゆかちゃんっ!」

ゆか「結果オーライ!」

かすみ「まー、そーねっ!」

ゆか「でも、名前知らなかったとは。」

かすみ「いいのっ。コタローくん知ってればそれだけで。」

ゆか「でも、けんたさんいい人よねっ。」

かすみ「ゆかちゃん?」

ゆか「大丈夫よっ!変な感情なんかありませんからっ。」

かすみ「そーよ。無理に誘ったんだから。」

ゆか「でも、けんたさんから誘ってくるかもしれないよ〜?だって私、可愛いからっ!」

かすみ「自分で言うー?」

ゆか「ハハハ〜、なーんちゃってぇ!」

ゆか「服、なんか用意する?ちゃんと安くしとくよ〜!」

かすみ「そうねっ、お願いっ!」

ゆか「おまかせあれっ!」


ゆかが、セイヤが行きたかった遊園地。

散歩で一緒のけんたも参加で。

初めての4人での1日。

…そう、真実はその遊園地から…。


ゆか「じゃ〜ん!」

かすみ「これ、ワイドパンツ?」

ゆか「正解!」

かすみ「はいた事ない。」

ゆか「テーマは、遊園地!」

かすみ「遊園地?」

ゆか「スカートってわけにはいかないし、普通のパンツは普段はいてるから、これっ!」

かすみ「ねー、こんな感じ?」

ゆか「そー!って、かすみちゃんスタイルいいからなんでも似合いすぎ〜!」

かすみ「ゆかちゃんもスタイルいいよっ!」

ゆか「私はあと、3センチ身長が。」

かすみ「私と変わらないよー。」

ゆか「3センチ低いっ。」

かすみ「変わらないよっ。」

ゆか「その3センチの差は大きいわよ。」

かすみ「そうかなー。」

ゆか「まっ、なんでも似合うから選んでても楽しいよ、かすみちゃんの服は。」

かすみ「いつもありがとう。」

ゆか「いいのっ、楽しいしさっ、服売れて儲かるしさっ!」

かすみ「楽しみねっ。遊園地。」

ゆか「行くぞー!遊園地!」


夕方もまだまだ暑い日が続く。

だが、散歩は欠かさない。

今日は休みのゆかも一緒にっ。


かすみ「ゆかちゃん最近毎週一緒に散歩来てるよねー。疲れない?」

ゆか「週に1回なら楽しいのさっ!」


わんっ わんっ


ゆか「おっ、コタロー!」

かすみ「あ、コタローくん!」

ゆか「私が先に呼んだのにっ。」

かすみ「人見知りらしいよっ。」

ゆか「えー、どっちがー?」

かすみ「どっちって、コタローくんが。」

ゆか「けんたさんもじゃない?」

けんた「はいっ。僕も人見知りです。」

ゆか「わ〜っ!?忍者かっ!お主は!」

けんた「すいません。驚かせて。」

かすみ「こんにちは。」

けんた「こんにちは。」

ゆか「そーそー、遊園地の日程。」


けんた「楽しみだなー。」

かすみ「ですねっ。」


来週はいよいよ遊園地!

ゆかはお姉さんに店をお願いして。

だんだんと、加速していく日々。

もう止まらない。


第9話に続く。









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