saveー危険なダンジョンにセーブポイントをー

古城エフ

プロローグ

第1話

 ダンジョンとは災害である。

 それも未曾有の大災害なのだ。

 学校の先生はそう言っていたけど、当時の僕は意味がよく分かってなかった。

 それが理解できたのはまだ子供だった僕が友達と川遊びから帰ってきた時だ。

 僕の瞳を支配した景色は衝撃的だった。

 つい三時間前まで過ごしていた僕らの村がダンジョンに飲み込まれていく。

 悲鳴が聞こえたけど、誰も逃げることができなかった。

 当然、父さんも母さんも見つからなかった。親戚もお隣のミドアおばさんもパン屋のグルダさんもいなかった。それどころか村そのものが巨大なダンジョンに埋め尽くされていく。

 僕らは丘の上で唖然としてそれを眺めていた。

 巨大な洞窟が僕らの村を覆っていく様をなにも出来ずに見つめていた。


 あの時、僕はなにも守れなかったんだ。

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