カダッツ物語

龍心

第1話 ほしちゃん大地に立つ!!

時は 今から ちょうど1000年前にさかのぼる

深い霧の森の中を 颯爽と走る 中年男がいた!!

彼の名前は ほしちゃん

平和で 緑豊かな村 ガタッツの 最後の戦士 ほしちゃん

彼の朝は ランニングから始まる

重たい 鎧を身に纏い 身体に違わぬ 大剣を振り回し ガダッツの平和を 一人で守る

孤独なガーディアンであった

「やっー」「とぅー」「はっー」大剣を縦横無尽に振り回す姿は まさに鬼神の如く 迫力があった 日々精進 己の鍛錬を 怠らぬ努力家だった

ほしちゃんは 自宅に帰り シャワーで汗を流した

湯上がりの彼の頭髪はくるくるで ちりちりだった

裸にパンツ一枚になった彼は おもむろにソファーに腰掛け くつろいだ 目の前にある作りかけのガンプラを目にし 制作し始めた ガンプラに集中してるあまりに 玄関に脱ぎ捨てた 鋼の鎧 鋼の大剣を盗まれて居ることに ほしちゃんは気が付いて居なかった 戦士の魂を 全てを盗まれていた!!


その頃 制作していたガンプラが出来上がり

「いやっほー」と盛り上がって居た 満ち足りた子供のような笑顔の見せた 作り疲れたのか 布団に包まって 静に眠りに付いてしまった


明け方 深緑に濃霧の 肌寒さで目が覚めた

「へっくしょん!!」

ちょっと風邪を引いてしまったらしい

「へっくしょん!!」

慌てながら 着る物を探しているが 何処にも無い 鎧も大剣も何処にも無かった 全てを悟った ほしちゃん

平和な森に 叫び声がこだまする…

「うわぁーーーー」

肩を落としながら とぼとぼ歩き

近所の庭に 干されていた布きれを拝借した

戦士ルドガーは 薄汚い 茶色いローブを身に纏った

それはガタッツに住む 黒魔術師の大事にしていたローブだった 婆さんのローブでは 丈が短く まるでバカボンのようなツンツルテンの風貌になってしまった!!

気落ちして 肩を落としながら歩いた しばらくすると ほしちゃんの前方から その黒魔術師の婆さんがこちらに向かってくる 婆さんは気が付いた

「この泥棒ーまてー」この婆さん意外と足が早い

杖で殴りながら 追いかけて来る

逃げる ほしちゃん

追いかける 婆さん

逃げる ほしちゃん

追いかける 婆さん


そうこうしてるウチに ほしちゃんの身体には小さかったローブが 破けてしまった…

ビリッ ビリッビリッビリッ

もうこうなっては着られなくなった ただのぼろ切れに成り下がり それを 投げ捨て パンツ一枚で走って逃げた

その時 恐ろしい声が

まるで地獄の底からの重低音で 聞こえてきた

「この恨みはらさでおくべきか~ 呪ってやる!!」

「テクマクマヤコン テクマクマヤコン オナラよとまらなくなーれ!!」


婆さんの振り上げた杖から 閃光が放たれ ほしちゃんに命中した


デデデデデデデデデンデン…

これより先 ほしちゃんは 5歩歩く度に

オナラが一回出る呪いの 身体になってしまった

ブッ!!

ブッ!!

ブッ!!

ブッ!!

肩を落としながら 鎧と大剣を 取り返す事を 硬く決意した


風邪気味戦士 ほしちゃん


彼の旅は これから始まるのであった!!


ブッ!!


へっくしょん!!


ブッ!!


ブッ!!


ブッ!!


へっくしょん!!


「さみーよ!!」ぶるる


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る