第2話 もう一つの家族

 家族が出会ったのは家族だった。初めて会う、部族外の家族。言葉は通うが、瞳と髪の色が違う。瞳は家族のものより小さく、明るい茶色。髪の色は金色で、皆そろって染めているという。

 森の家族は、祖父、祖母、父、母、兄、姉、妹、弟で構成されていた。一番年下の弟が、リディとカナルの真ん中の年齢で、イレーマという名前だった。森の部族の特徴として、体のどこかにお守りのようなものを付加していた。イレーマは耳たぶに穴を開け、小さくなめらかな黒色輪を通していた。継ぎ目は見えない。

 森の家族の父は友好的で、一晩の宿に彼らの住居の一部を貸してくれた。

 兄弟に年の近いイレーマは話をしたいと家族と一緒に眠ることを希望した。イレーマの家族から反対されるのではと家族は考えたが、イレーマは家族の眠る部屋へやってきた。一番入り口近くに横になったカナルの横にイレーマもごろりと転がった。

 イレーマは、いろいろと質問した。どんな部族なの、大きい瞳は何か入れているの、旅に出るのははじめてなの。答えるのはだいたいカナルだったが、時々カディナ、リディも口を挟んだ。笑い声もいくつか起きた。そして、いつしか誰からかわからないが、皆眠っていた。

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