吃音について記憶に残っていること

@bblack

第1話

 自殺した30代の男性が家に引きこもるようになったのは、小学校のときのいじめがはじまりだった。


 小学6年生の転校をきっかけに、同学年のクラスメイトから吃音をからかわれるようになった。そのことから人前で話すことを恐れるようになり、無表情で黙りこむ場面が増えるようになった。

 もともと彼に自閉症スペクトラムの気質があったことも手伝い、クラスにうまく馴染めずに孤立していった。そういった間に吃音のからかいがエスカレートしていき、次第に集団での嘲笑や無視に至り、いじめへと発展していった。

 けれど、当時の彼は「いじめ」という概念を持っておらず、ただ学校に行きたくないという思いが日に日に強くなるばかりだった。

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