映画が町にやってくる！

森山智仁

藤井様

はじめまして。風花町（かざはなちょう）地域振興課の本田と申します。お問い合わせありがとうございました。

早速ですが、結論から申し上げます。我が町での映画の撮影、ぜひ実現させてください。町が管理する公共スペースでの撮影を喜んで許可すると共に、個人が所有する土地・建物で撮影する際の交渉、エキストラの募集等、全力でサポートさせていただきます。何もない田舎町ですが、どうぞご自由にお使いください。

藤井様がフィアフェルムフェスティバルで審査員特別賞を受賞された『りんご』という作品、地域振興課一同で拝見しました。素晴らしかったです。とても温かな気持ちになり、最後のシーンではホロリとさせられました。これからの日本の映画界に羽ばたいていかれる藤井様が次の舞台に我が町を選んでくださったこと、大変光栄に思います。作品の完成が今からとても楽しみです。

さて、撮影にあたりまして、大変お手数ではございますが、事前に、台本と撮影計画書のご提出をお願い致します。台本の細部は当日変更されても構いません。また、撮影計画書はロケ地と日時さえ明記されていれば簡単なもので結構です。トラブル防止のため、ご理解とご協力をお願い致します。

ぜひ、町民個々人との撮影許可交渉の前に撮影計画書をご提出ください。町公認の作品であると言っていただけるようになりますし、必要であれば個別に交渉のお手伝いも致します。もしよろしければ、町の広報誌「風花だより」にて、近々映画の撮影があるので諸々協力してほしいと呼びかけておきますが、いかがでしょうか？

呼びかけにあたり、撮影の時期が大雑把にでもお決まりであれば、教えていただけますと幸いです。ついでに申し上げますと……あまり作品に口出しするのは憚られるのですが……１０月の末に「風花祭」というお祭りがございます。町中のコスモスが咲き乱れ、全国から大勢の観光客が訪れます。何やら若者たちの間では「風花祭の夜に告白すると成就する」などというかわいらしい噂もあるようです。もちろん、作品内容は藤井様にお任せしますが、風花祭を少しでも取り上げていただけたら、町としては大変助かります。

昨年は新型コロナウイルスの流行で風花祭も中止となり、町の観光産業は大きな打撃を受けました。今年は開催の見通しでございますので、昨年の無念を晴らすためにも、大いに盛り上げていきたいと考えております。ご検討よろしくお願い致します。

ロケハンにいらっしゃる際はぜひご一報ください。藤井様にお会いできる日を楽しみにしております。