第52話-ゴミ-

 ゴミをポイ捨てする人とかいるよね。街中にたばこの吸い殻が落ちてたりとか。

 ゴミ出しの指定日を守らないとか、まあ色々トラブルの原因だよね。


 まあちょっと、そういう人にはいい薬になる話なんだけど。


 今年から一人暮らしを始めた後輩がいるんだけど、どうもゴミ出しがめんどくさいらしいんだよね。

「なんで週に二回とかって決まってるんだよ!」って怒ったりしてたよ。

 で、まあやっちゃうんだよね、ついつい。


 指定日以外に、ゴミを出しちゃうんだよ。

 夜のうちに、しれっと。


 もちろん、個人情報が分かるような物は一切入らないように注意しながらね。

 ゴミ出しがめんどくさいって言ってるのにそんなところには手間かけるのって感じだけど……。


 それでまあ、本当は燃えるごみは火曜と金曜なのに、水曜の夜にゴミを出した時。


 次の日の朝、起きてみると昨日ゴミを出す前に置いといた場所に、ゴミ袋が戻って来てるんだよ。

 中身を見る限り、間違いなく自分が出したごみ。


 あれ?出したつもりで忘れてたのかなと思ってその日、つまり木曜の夜にまたゴミを出しちゃった。


 次の日目を覚ますとやっぱり同じところにゴミが残ってるんだ。

 さすがになんだか不気味になって、その日は朝のうちにさっさとごみを出しちゃった。

 すると、次の日にはもうゴミ袋は戻ってこなかった。


 それからも後輩は指定日を破ったりしてたんだけど、その度にゴミは部屋に戻ってきた。

 そして気付いたんだ。


 ちゃんと指定日の朝に出したゴミは戻ってこない。

 戻って来てる、いや、戻されて来てるのは指定日を破ったゴミだけだ。


 そのことに気付いてからは、ちゃんとゴミの日を守ってるみたいだよ。

 まあそれでも、なんでゴミが戻って来てたのかは謎のままだけどね。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る