第37話-詐欺-

 詐欺ってのはいつになっても無くならないもんだよな。

 こういう話が広まれば、ちょっとは減るかもしれないけどさ。


 とある詐欺師の話だ。

 詐欺って言っても色々あるけど、これは悪徳商法。

 金を搾り取れるだけ搾り取って……最終的に相手が自殺しても知らん顔だ。


 その詐欺師も、何人も死なせてたらしい。


 ある夜のこと。

 首を吊る夢を見た。

 全く見覚えの無い部屋の中で、絶望しながら首を括る。


 息絶えた瞬間に目覚めたけど、しばらくは恐ろしくて体が震えていたらしい。


 次の日も、その次の日も同じ夢を見た。

 ただ、部屋の中の様子と視点の高さが毎回違う。

 そして目覚めるたびに体ががくがくと震えるんだ。


 寝不足にもなるし、日中もどうもぐったりとしていた。

 いつものように客をだまそうとするけど、その度に夢の中身がフラッシュバックして、しばらく何も喋ることが出来なくなってしまう。


 ここまで言ったらなんとなく想像つくだろ?


 そう、これは今まで詐欺師が死に追いやった人たちの、死の間際の状況と絶望を夢に見てたんだよ。

 きっと、最期の瞬間まで詐欺師を恨んでたんだろうな。


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