第22話-ゲーム-

 ゲームソフトを中古で買うとか最近減ったよな。

 前の人のデータが残ってるのとか、見るの結構好きだったんだけど。

 この話を聞いてからはちょっとためらってる。


 その人も、まあ中古のソフトを買って前の人のデータを見るのが好きだったらしい。

 で、ある日買った、携帯ゲーム機の有名なRPGのデータを見てみると。

 なんと、中はバグまみれ。

 表示されるテキストは全部文字化けしてるし、画面は異様に暗いし、操作が全く効かない。

 リセットしようとしても、データを消す操作すらできない。

 それどころか、本体の電源すら消せなくなっちまった。


 ハードまで壊されたらたまったもんじゃない。

 その日はもう遅いから、明日店に文句を言いに行こうと思いながら、その日は本体の電源をつけっぱなしにして寝床に着いた。


 電気を消した暗い部屋の中で、うっすらと光る小さな液晶。

 それを、布団に入りながらぼんやりと眺めて、やがてうとうとしていたころ。


 何か、奇妙な電子音が聞こえてくる。

 ヴィーとかガーとか。

 見ると、ゲーム機の画面が不規則にチカチカしてるんだよ。


「ああ、これはとうとう壊れたか?」と思っているとだ。


 ゲーム機が、カタカタと動き出した。

 もちろんバイブ機能なんかが付いてるわけじゃない。

 どうバグっても、動くわけなんか無いんだよ。


 それに気が付いて体を起こした瞬間。

 画面から手が飛び出してきた。


 青白い、生気の無い腕が辺りを探るように動く。

 気を失ったんだろうな。それ以降の記憶は無い。


 次の日、目を覚ましてすぐにソフト売りに行ったってさ。

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