第21話-ストーカー-

 実は幽霊や妖怪よりも人間が怖い、って話あるよな?

 俺はこの話を聞いた時、割とゾッとしたんだけど。


 女子大生のSはストーカー被害に悩まされていた。

 郵便受けの中に奇妙な手紙が入っていたり、街中で視線を感じたり。幸い物が無くなるとか、実害は無かったけど不気味で仕方ない。


 アパートの隣の部屋に住んでて同じ学校に通ってる、男友達のBにも相談してたけど、一向に解決する気配はなかった。


 そろそろ警察に相談しようかと考えていたある日、とうとう事件が起こった。

 部屋に帰って来て郵便受けを見ると、何か紙の束が入っている。


 何かと思って広げてみると、それ全部盗撮写真なんだよ。

 街中、大学、部屋の中まで、あらゆるところでのSの姿を収めた写真が百枚以上。


 この部屋にもカメラが仕掛けられている。

 そう考えると部屋にいられなくって、慌てて隣のBの部屋を訪ねた。


 Bは、何が何だか分からないって顔して出てきたけど、事情を話すと納得したように部屋に入れてくれた。

 そして、Sは見てしまった。


 Bの部屋の壁という壁に貼られた、Sの写真を。

 さっきの、写真の束の中に入っていた写真も、いくつか見つけた。


 隣人の正体を知ったSは、当然そのまま逃げだして、交番に駆け込んだ。

 Bはすぐに捕まったよ。


 その後の捜査で、Bは一年前からストーカーをしていたこと、Sの家を知っていまのアパートに引っ越してきたことが分かった。


 でも一つだけ分からなかったことがあるんだ。

 部屋の中にいるSを撮った写真は確かにいくつもあったのに、Sの部屋からは隠しカメラみたいなものが1つも見つからなかったんだ。

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