第2話 桜

 今日は高校の入学式、学校の靴箱のドアに提示されているクラス表から、自分の名前を見つけその教室へ行く。 

 なぜか廊下を歩く自分が少しだけ大人になった感じに思えた。

 校舎を見ながら歩いているとあっという間に自分の教室についた。教室前の廊下には見覚えのある2人の後ろ姿がみえ、教室に入ろうとする俺に気づいた。


「お!須藤じゃん!?お前も同じクラス!?

鴨川も同じクラスだってさ!」

 

振り返った2人は、中学の時同じバスケ部だった相田と、鴨川だった。


「相田、うるさい目立つから」

鴨川は呆れたような顔で相田をみた。


「はいはい、これだから真面目ちゃんは、そんなんだから女の子にモテねーぞ。なぁ須藤?」


相田も鴨川も相変わらずだなと、俺は思い少しホッとした。

同じ高校に進化するのは知ってたが、まさか3人とも同じクラスとは。


 そのあと俺たちは黒板に貼られた自分の席の表を確認しに行った。

「俺は前の席かー。あれ?てか、お前の席誰が座ってね?」


相田は俺の席を指した。


そこには、机に顔を伏せている男子生徒がいた。


俺はもう一度席の表を確認したが、間違いなくその席は俺の席だ。


「あの、そこ俺の席なんだけど?」

俺はそいつの前に立ち、寝ているかも知れないからと思い少し大きな声で言った。


そいつは少し驚いて顔を上げ俺をみた。

少しながい前髪から覗く透き通るような目、全体的に女の子みたいな面立ちの奴だ。


「え何!?席?あ、須藤ってシール貼ってる、本当だごめん」

そいつは急いで自分の席を確認しに行き、

本来の席に座った。


「なんか、あの子天然なのかな?てか女みてぇだなぁ。髪伸ばしたらなれるな」

相田がそう言うと。


「なに男狙ってんのキモ、引くわ」

と鴨川が言った。


その声が聞こえていたのか、そいつは少し肩をビクッとさせ、縮まるように机に顔を伏せた。


俺は少し違和感を感じた。何かに怯えているように見えた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

イベリスカット 雨花メロウ @ukamellow

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ