7.つよし(3)

ガクン!


突然、電車のスピードが落ち、車内の照明が落ちた。


何だ?どうした?


「ただいま、瞬間停電が発生いたしました。照明と空調が停止しておりますが、まもなく復旧いたしますのでご了承ください。」


瞬間停電?


そんなことが起きるのか?


照明が落ちているが、非常灯が点いているので真っ暗ではない。


暗くなってもゲーム画面は明るいので、ゲームに支障はない。


かえって集中できるくらいだ。


ここの駅間は少し長いのでゲーム画面に集中しよう・・・・


んっ!


おや?


あのおやじが・・・


何か光ってないか?


少し離れたところにいるあのおやじが、薄ぼんやり光っているように見えるんだけど・・・


周りの人間は気づいてないのか?


薄い黄緑に発光している。


見間違いではないかと思い、目を凝らしてみたが、間違いない。


これは?オーラ?


あんな、さえないおやじにオーラが見えるなんて・・・


ハゲ てはいないよな?


これって? 何?何?


なんでオーラが?


宇宙人か?


ええ~!


うゎー 気になる。


考えてもわからない(当たり前か)。


知りたい!このおやじが何者なのか。


他には誰もこの不思議に気づいていない・・・


あれ?


さっき、おやじの後ろにいた女の子が目を丸くしている。


もしかして、気づいている?


思わず見つめてしまったら、向こうも気づいたらしく目が合ってしまった。


まったく知り合いではないが、目をおやじの方へ動かして例のおやじが気になると意思の疎通ができてしまった。


この娘はどうするんだろう?


俺は、決心した。


今日は片付けなければならない仕事が少ないので、少しくらい遅れても構わない。


この疑問を解決してから仕事に行っても充分間に合うので、このおやじの謎を解決することにした。


このおやじの降りる駅で一緒に降りて、聞けば良いだけのことだ。


決めた。


俺は、ゲームをやる振りをしながら、おやじに意識を集中した。


おやじはどの駅で降りるのだろう・・・・

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