死神と砂糖菓子な世界

Fuwarena

プロローグ

神界。死神の後継者が突如何者かによって殺された。

これは、今神界で一番深刻なニュースだ。

ちょうど今のタイミングは、死神も寿命が近く後継者に管轄を引き継いでいる最中だった。

明らかに誰かが、死神の失脚及び冥府の没落を望んでいたとしか言いようがない…。


そこまで考えると、最高神はふうとため息を吐いた。今神界に、冥府に耐性があって死神の器があるものはいない。

犯人は今、最高神がどうしたものかと頭を抱えるのを想像してさぞや喜んでいるのだろう。

だが神は最初から神でなくてもいいことを、きっと犯人は知らない。最高神は口もとを上げると、今日の冥府の死者のリストをぱらぱらめくり始めた。


文字が見えているのかすらあやしいスピードでめくっていたが、ある時ぴたとめくる手が止まる。最高神は再び口もとを上げると、「冥府へ行く」とだけ言って神殿を出た。

そこで、最高神の気まぐれに仕える神族たちはようやく一息つけるのだが…神族たちも最高神と過ごして長い。あの楽しそうで、悪そうな表情。一瞬振り返って、わざとらしく念話で『頼んだぞ』と伝えるあたり…嫌な予感しかしない彼らは、せめて最高神様が帰られるまではと、その日は皆、速攻で自分の箱庭へ帰っていったという。

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