第39話 無罪放免!

 ゴマすって春が来るのは植木等の歌だけとか何とか、そういえばその植木等さんの歌の中には、「無責任」ってのもあったな。

 で、ふと、今、思い出した。


 無罪放免!


 大学のサークルの先輩に、現在小学校の校長をされている方がおられます。

 その方がまだ、教員になりたての頃のお話。


 小学校の先生は、一応、何でもさせられるのね。ご存知の通り。

 私が小5でそのサークル、鉄道研究会にスカウトされて最初に例会に行ったとき、その先輩はちょうど1回生でした。で、なぜかその日、私が当時小学校で使っていた教科書と全く同じものを、持ってこられていました。

 あれはマジで、印象に残っています。


 でもまあ、そのね、小学校と言っても、全教科まんべんなく、完璧にできる先生なんて、まずいないじゃん。

 建前としてはわかるけど、無理だと思うけどなぁ・・・。

 今でこそそう思うけど、当時19歳の先輩を見て、あ、この日と、すごいな、なんて思っておりました。どう考えてもこの人、音楽が得意そうにも見えないし、と言ったら、殺されそうだけど、そんなこともなく、当たり前じゃ、何でもかんでもできるか、というのが、その先輩に限らず、たいていの先生の本音だと思うよ。

 特に男性に、その傾向が強いような気がする。


 サーて、その先輩、私が中3の年に大学を卒業されて、先生になりました。

 で、たびたびOBとして来られて、お会いして、学校の話になるわけ。

 何年もたたないうちに、こんな話をたびたび聞かされました。


「家庭科? あ、もう、無罪放免!(わっはっは)」

 こちらは、わりにあっさりとそうなった模様。なんせ当時は、男子は中学以降家庭科自体が「無罪放免」だったからね(苦笑)。


「音楽? 去年はやった(当時2年生の担任)。でな、レコードの33回転のがあろう、あれを45回転でかけてやったら、子どもら、喜びよったで(苦笑)・・・」

 これには笑えましたが、よくよく聞いてみたら、なんか、イヤそうな顔というか、そんな子も中には、いた模様。さすがに、それはその後されていないみたいね。

 で、ほどなくすると、こうなりましたとさ。

「音楽も、無罪放免じゃ(キッパリ)」


 図工(図画工作)は、無罪放免になったとおっしゃっていたかどうかは、ちょっと、思い出せません。さすがに、国語・算数・理科・社会の4教科は無罪放免はなかったと思う。

 ただ、その先輩も多くの男性教諭と同じパターンで、高学年担当の多い方だったから、多少教科担任の入るところがあったはず。


 正直、小学校もある程度、教科担任でやった方がいい教科もあるように思うのだけど、無理なのか、なぁ・・・。


 逆にね、中学校以降は教科担任原則だけど、その逆も、ある程度取入れてもいいのではないかという気も、する。

 特に数学なんてさ、専門の先生が教えるのもいいけど、他教科の先生が教えるのもあっていいような気がする。高校のはさすがに無理だけど、中1あたりの基礎レベルであれば、専門の先生よりも、他教科の先生のほうが、かえっていいような気がする。とくに、中学や高校時代に数学が苦手だったような先生のほうがいいかもね。

 あるいは逆に、数学の先生が国語というのも、ありだ。

 そういうのも、あっていいような気がする。

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