不幸が振り切って魔王になった
ラジオ
第1話 ここはどこ?
「ここ、どこ?」
漫画とかで記憶喪失をした人がよく言っていることを言ったが記憶は大丈夫、俺の名前は 扇 勇治 、年齢は27歳で独身、職業は派遣社員、恋人はいない、ちゃんと覚えてる。
その証拠に「ここはどこ?」の言葉の次に「私は誰?」とは続けない。
ただ、気が付いたら何故か雲の上みたいなところにいた。
ここは本当に知らない場所だ、だからここはどこかという疑問が出たんだ。
俺はたしか、久しぶりの休日だったので出掛けていたはずだ。
目的地はホビーショップで、最寄りのバス停からバスに乗って目的地のホビーショップに近いバス停で降りて、のんびり歩いていたんだけどそこからの記憶がない、それにそもそも、ホビーショップまでの道のりにはこんな場所はなかったと記憶している。
記憶を思い返してもここがどこなのかとかどうして俺がここにいるのかという疑問のヒントはなかったのであらためて周りを見渡してみるが、視界一面に雲のような綿のようなよくわからないものが広がっている、ところどころにその雲みたいなものが盛り上がっていて高さは色々あるが机と椅子にするとちょうどいいくらい高さだ。
足元の感覚はベットの上に立っている感覚に似ている。
見覚えのない場所だったので周りを見渡していると、
「気がついたかの?」
「えっ?」
後ろから声をかけられたので振り向くと、そこには白い着物を着た老人の男性が立っていた。
その老人の顔は見覚えがある顔なのだが違和感がある、というのもこの老人の顔を見たのは祖父の家に並んでいる御先祖様の写真の中に同じ顔があったからだ。
ようするに、死んだはずの人間が目の前にいることになる、それになんか後光が射してる気がする。
一体だれなんだろう?
「わしは神じゃ、世界を創るのが仕事じゃ。 人からは世界神、創造神とやら呼ばれとる」
「えーっと、私は扇勇治と言います、派遣社員として今は金属部品の仕上げの仕事をしています」
相手がわからずにいると軽い自己紹介をされたのでこちらもとりあえず自己紹介で返したけど、相手はなんと神様だった。
えっなんで神様? 御先祖様に似てる? ここはどこだろう? どうしてここにいるのだろう?
ただでさえいきなり知らない場所に居るという事態に混乱してるのにそこで出会った人物(人物でいいのか?)が神様でしかも御先祖様に似ている姿をしているということが混乱に追い打ちをかけてくる。
こういう時こそ落ち着いて冷静な判断力を持たないといけないのは自分でもわかるが、落ち着けない。
御先祖様が神様ならば俺は神様の子孫なのではないか? なんて訳のわからないところまで俺の思考がとんだ辺りで神様もみかねたようで声をかけてきた。
「だいぶ混乱しておるな、落ち着かせてやろう」
そう言って神様は背後の光を一度強くして辺りを眩しく照らし少ししてから元の明るさに戻した。
とてもまぶしかったので俺は思わず目を瞑ったが、その光でパニックを一度忘れられ、さらに光が収まるとともに心が落ち着いた気がした。
そして目を開けると神様がこちらを見て微笑んでいた、ちょうど祖父の家にある御先祖様の写真の表情と重なる。
「大丈夫かな?」
神様がこちらを気にしてくれる、今の精神状態はとりあえず神様の光のおかげで周りに目を向けられるぐらいには落ち着いている。
「ありがとうございます、なんとか落ち着けました」
神様は俺が落ち着いたことを確認すると
「では先程の質問に答えようか、神であるわしがお主に姿を見せたのはすこし事情があっての、そのあたりは後で説明するぞい、あとわしがお主の先祖に見えるのは姿を借りているからじゃ、本来の姿はただの光じゃからのだからお主は神の子孫などではなく普通の人間じゃ」
と話を始めた。
神様の本来の姿はただの光だというが、もしかしたら俺が後光と思っている光が神様の本体なのかもしれない。
しかしパニックになっていたとはいえなんて思い違いをしたのだろうか、自分は神様の子孫だなんて誰かに話せばとんでもないナルシストか中二病の痛い人ではないか、恥ずかしい。
でも、
「すみません、口に出てましたか?」
混乱していたとはいえブツブツ独り言を言っていたのを見られたのはいいものではない。
「いや、口には出ておらんかったよ、わしはここにいる生き物の心が読めるんじゃ」
「わかりました」
心を読まれたらしい、流石神様。
「おだててもなにも出んぞ、そして次の答えじゃ、ここはどこかじゃが、ここは神界のまあ応接室みたいなところかの、こちらに連れてきた人間と会うときに使う場所じゃ」
まあ、神様がいるところは神界ですよね、そしてただの人間には入れるところはかぎられているということか、まあ閻魔様との面接じゃなくてよかった、あれっ面接するのは別の人物だったっけか?
天国と地獄は別問題かな?
いや閻魔様は天国と地獄どっちに行くか判定してくれる役だっけか?
そもそも神界とあの世は別の場所かもしれない
「そして最後の質問のどうしてお主がここにいるのかについてじゃが、お主が死んだ後にわしが連れてきた」
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