夏の失敗〈プール〉

 夏真っ盛りのある日だった。


 暑い暑いあの日。


 男女数人で行った大きなプール。


 プールには滑り台があったので、ノリでみんなで滑ることになった。


 滑り台のてっぺんに行き、私の番。

 やばい、手すりを触った瞬間気づいた。

 滑り台、熱すぎる!


 でもあとには引けない。


「きゃー!」


 係員に促されるまま、滑った!


 手すりは熱いわ、お尻は熱いわ、スピードはどんどん加速する。

 だって手すりは夏の熱さとスピードで掴むことなんて出来ない。

 減速する術はない。


 バシャーン!


 痛ぁい……。

 最後は足からプールに飛び込んで、体をしたたかに水に打ちつけました。


 友達もみんな滑って、感想は「もう二度とやらない」「体が痛い」でした。

 二度目を滑るチャレンジャーは居なかったです。


 そこでみんなで流れるプールや波が立つプールに移動。

 急に女子の一人が体調が悪くなり休憩するという。

「私のことは良いからみんなはプール楽しんで」


 そう言われても心配で、まだ帰る予定の時刻まで時間があったが、お開きとなりました。


 熱中症か貧血か。

 大丈夫? みんな心配してます。

 着替えを済ませ、しばらくプール横のカフェで休んでから帰ることに。


 こっそりその子が、女子だけに打ち明けた話。


「水着に穴が開いてたの。……滑り台の摩擦で」


 これは私ではないが、他人事ではない真夏の失敗。

 暑すぎる日の熱すぎる滑り台には気をつけようと思ったあの日。



       (2020年8月16日記)


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