第23話 エッジオブピース号からの船出

「乗組員諸君!新天地はもうすぐだ!我々の長きに渡る栄光への船旅も、いつしか歴史書に刻まれ、そして後世の人々は私たちを英雄と崇めるだろう!さぁ、心して上陸の準備をするんだ。そして、そこで永久に栄華を誇る街を、国を作り上げ、子孫たちにふるさとをプレゼントしようじゃないか!」


「さぁ、みんな!きっともう1週間もすれば我々は未知の世界へと足を踏み入れることになるだろう!思い出ライトの調子はどうだ?我らが技術者ターギニー博士の発明品をポンコツと呼んでやらないためにも、使い方を今から習得しておけ!まずは電池を入れ忘れることの内容にな。甲板下南2倉庫階段下に予備の電池は置いてある。もしもライトを使いすぎて動作が不安定になっているようであれば、そこに取りに行くように。いいな、枯れどきのやつらの上陸体勢が整うまでには確認しておけ?!あいつらのど幅な図体がいくつも並んだんじゃ、ネズミでさえひいひい言いながら通ることになるんだからな!」


「親愛なる仲間たちよっ!思い出の数は十分か?明日明後日には目的の島が眼前に迫ってくることだろう!ここまでの長い道のりは決して無駄ではなかったのだ!皆がこのピースオブエッジ号に乗船を決めてくれたことを心から感謝しているぞ!毎日船を進めてくれた船員たち!感謝の言葉が止むことはないっ、時間の許す限りお前たちには労いをかけてやりたいところだ。許す時間はまだ来ないが、その時は酒蔵に残した秘蔵の酒を振る舞いたいと思っている!こらこら、願掛けとして取ってあるんだ、気を起こすにゃまだ早いぞ!そして、子供たち!先生の言うことをしっかり聞いて、本当に良い子たちだった。君たちは大人と同じ、この船の船員だ!胸を張ってこれからの未来を作っていってもらいたい。いや、共に作っていこう!あとで立派な金のメダルをその細い首にかけてやる!泣いて喜べよぉっ」


「お前たちっ!遠くへ行くんだっっ!すぐにっ!命をつなげ!命さえあればっ、俺たちは何度でも夢を見られるっ!いいなっ!白い光に捕らわれるなっ!!オレンジのずんぐりと目を合わすなっ!!きぇ…………」



「ボォォオアオォァアオオゥィオエバァアアアアアオアアアーーーーー」

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