第16話 ウ・ラクタ ハルワ

見えない。

ぜーんぜん、見えないよ。


僕にはね、未来視のチカラなんてもんはないんだ。


ただなんとなーく、その時に、これがいいかなって方に進んでるだけ。


だからみんなが言うような、それこそ、君が僕に抱いているようなカリスマ性に富んだ不思議なチカラはないの。


でも。

その時々で選んでいるそれが、他人には素晴らしいものに見えてて、僕がより良い未来を選んでいるって風に映るわけ。


失敗だってしてるよ?

取り返しがつかないことだっていくつもある。


だけどみんな、何をしたって「それら」を素晴らしいと言うのさ。


不思議だよね。

少なくとも僕は不思議なんだけど、どうかな?

君は、君も、不思議に思わない人だったかな。


選択はなんとなく。

直感で選んでいるだけだから、君にする説明が正しいか、それが君の望む答えかはわからないんだけど、


必要なのは、後悔しないこと。

それから前を見据えようとすることだよ。


この人生が一度きりなんだったら、

これまでに時間を巻き戻した経験がないんだったら、

おそらくこれからも時間は前へ前へ進んでいくものなんだ。


そんななかで、唯一言うことをしっかり聞かせられる【自分】が選んだ選択は、なによりも尊いものになるんだよ。だから、その選択を後悔しないことだ。

むしろ誇るべきなんだ。


だから、逆に言えば、後悔しないために、自分自身に誇りを持っていられるようにするために。選択肢を考えて考えて、考えて選んでやるべきなんだよ。


間違いは起きる。


けど、間違えない選択はできる。


取り返しがつかないことだって起こる。


けど、影響を最小限にする方法を採れるし、起こったとして良い方向に変えていくことだってできる。


だから、もし君が泣きそうになって胸が潰れそうで、苦しくて苦しくて苦しくて、それで僕にすがるつもりなら、僕は全然構わない。


君のことを、歓迎する「選択」をするよ。

それが今の僕の直感のささやく先だからね。



だから、君にはその前に、この「選択」が誇りを持つに値するのか、改めてよーーーく考えてみてほしい。


幸い、まだ朝は来ないからさ。

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