純白の幼児、リリオネル。
江戸端 禧丞
第1話・2歳の魔王
彼の脳裏にふと、リリオネルとして生まれ変わったこの世界には、人間が生きている場所もあるのかという思いが生まれた。リリオネルが持っている知識としては、魔界があって魔王が存在して魔物がいれば、勇者とお供が魔王を倒すべく冒険を繰り広げ、最後には魔王を打ち倒す、というお決まりの話の筋がある。その確認のために5歳児姿のリリオネルは、絵心のない大胆な絵を描き始める。実は、この世界では人間が存在するかどうかは、10歳になって20年間のうちに学校で習うことであり、その
「随分とチャーミングな絵でございますね、陛下はどれですか??」
「コレがボク、こっちがルシアノで、この黒いのがラビタルで、コレがハヴァル。そいで、これがユウシャとそのオトモッ!」
突然何を言い出すのかとシッカリ仕事をこなしながら、耳を傾けていた重鎮3人が勢いよく噴き出す、とまぁ、こうなるのだ。この魔界に魔族側から見た【勇者】を、勇者として扱っている書物はほぼ存在しない。それどころか、人間を敵として認識している魔族もいない。何故なら彼らの世界では、人間の
「……陛下、どこでその言葉を…?
褐色の肌に、緑色の切れ長い眼、黒い長髪のドラゴン族の
「この2年で私が陛下にお教えしたのは、大人しく玉座にお座り頂くことと、目の前にあるものを毒味係が最初に手に取ること、数冊の絵本を読んで差し上げることだけだ。ルシアノも人間について陛下から聞かれたことなどないだろう?」
「勿論です!!陛下と言えども、まだお教えするには早いかと判断したのですが……陛下、勇者とそのお供のお話をどこでお聞き及びになったのですか?」
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