第14話 悪魔と対峙

「悪魔が村を襲ったんだ」


「それじゃあ今回も?」


「それを決めつけるのは尚早というか。……道あってるのか」


「上を目指せば良いんだろう」


 ノツは分かれ道だろうが迷うことなく進んでいく。


 途中で道を把握しているのではなく、自分の思いのままに選んでいることに気付いてからは不安しかないレンだった。


 背中では相変わらず無邪気にマダレがはしゃいでいる。


「連れてこなきゃ良かったかな……」


 とはいえ、この子を一人にする方がよほど不安である。



「……なんだぁ、こりゃ」


「犯行の証拠ってやつだな」


 頂上まで辿り着き、崖の上で見たのは巨大な岩がいくつも並べてあり、丸太を使ってテコの原理のように落とそうとしている跡だった。


「少なくとも、意図的だな」


「ふざけるなよ! 何だってこんなことを」


「族長の殺害だよ」



 振り向いた先には二匹の悪魔がニヤリと笑い佇んでいた。


「混竜族の族長が殺されたとなれば、お前ら竜族は大混乱だろうからな」


「悪魔に恨まれる覚えはないけどな」


 怒りを露わにしながらも、冷静にノツは対応する。


「俺たちも恨みはないさ。ただ、お前たちを恨んでいる奴らがいるってだけさ」


 つまり、誰かに命令された?


 真犯人は別にいる。


 レンの中にある怒りがふつふつと湧き上がってくる。



「赤竜族の村を襲ったのもお前たちか?」


「はて、どうだか。村のことなんて覚えちゃいないね。なぁ?」


「もしかして生き残りか? ああ、やっぱ壊滅じゃ生ぬるいって。させてこそ意味があるってのに」


 彼らの下卑た笑いに拳を強く握りしめる。


「……マダレ、下りてくれ」


「おい」


「コイツらは許せない」



「さて、どうする?」


「ククク、見られたからには……だなぁ?」


 悪魔たちは顔を見合わせるとより一層下品に笑い、腕を漆黒の刃に変え襲いかかる。


「……っ!」


 身構える間もなく、一匹が疾駆した先は――マダレであった。


「なっ!?」


「まずはこのガキからだ!」

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