白雪姫のクローゼット
モリナガ チヨコ
第1話 手詰まり
もうニッチもサッチもいかなくなった。
田舎に帰るにしても引っ越し代もない。
手詰まり感が半端ない。
私は働きたくないのだ。
人と関わるのが面倒だし、いろんな事に評価を付けられる事が嫌なのだ。
好きに生きていたい。というのとも違う。
多分、生まれる時代を間違えたのだ。
本来、生きるはずの時代に生まれていたとしたら、私は姫なのだ。
なのに、今のこの状況はなんだ。
ひどいもんだ。
ユニットバス付きのワンルームでほぼ100円ショップで買った生活雑貨とインテリアで暮らし、クローゼットにある服の中で最も高価な服は、唯一新品で購入したユニクロの薄いダウンジャケットだ。他は古着屋で200円や300円そこらで買った数種類を制服のように着回している。柄物といえばグレーと白のボーダーのTシャツぐらい。スカートは持っていない。
自転車で20分の職場に通い、帰りにディスカウントショップで食料品を買って帰るような毎日。朝は菓子パン、昼はおにぎり、夜はカップ焼きそば。時々柿の種。
もう何年もこれを続けている。
髪型はずっと前からおかっぱ。実家から持って来たハサミで自分で切揃えている。
さて、この何年も変わりなく続いてきた私の生活が、職場の廃業によって終わりを告げようとしている。
就職せず、まあ家賃と食費があれば良いやと思って、缶詰工場の9時5時のバイトでうまくやってきたと思っていたのに、去年まで多少貯金もあったのに、歯車が狂い出すとはこのことだ。
この温暖化の時代にエアコンが壊れ、買い直したのが始まり。自転車を盗まれ買い直し、携帯買い直し、一番ひどいのは思い出したくもないが、、、。
とにかく、今の私は手詰まりなのである。
いや、参った。
職を探すにも、ヤバい、働く気が全くわかない。
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