8日目




――8日目


 今日も何事もなく学校が終わる。


そして帰って来た夕方頃。


 ――美玖が帰ってきていた。


「美玖ッ!」


「ただいま~っ、シンシン!」


 玄関先で俺に飛びつき抱きついてきた。

 俺も彼女の背中に手を伸ばし、ぎゅっと抱擁する。


 美玖の優しい温もりと香り、柔らかな感触。

 その存在全てに癒されていく。


 俺の中で、彼女はもう掛け替えのない愛しい存在なのだと認識する。


「お帰り……待ってたよ」


「やばい、超幸せ~……くすん」


 俺の胸の中で嬉し泣きする美玖。

 そのまま優しく、艶々した黒髪を撫でる。


「俺も……だよ。こんな気持ちにしてくれる美玖に感謝しているんだ」


「えへっ。あたしの方こそ……感謝だよ♡」


 可愛さと愛しさが入り混じり、俺は溶け合うように強く抱きしめた。



 その一方では、


(ぐぅ……おにぃが……おにぃが取られちゃう……このまま彼女いなかったら、わたしが一生傍にいてあげようと思っているのに……)


 小春がリビングから、ちょっこりと顔を出して、俺達を覗いていたとは露知らず。



【芯真が死ぬまで、あと2日】




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