1章 小さな神社

濃霧

第一話 独り

 ハッと気が付く。そこは雨が降る街では無く、いつものブルーシートの上だ。そして、俺は子供の小さい手、短い足、白い肌ではなく、大人のゴツゴツした手、成長した身体、少し焼けた肌だった。


 さっきのはただの昔の夢だ。あの時のことは早く忘れたいものだ__そう思い、垂れている目を擦り、頬を叩き、目が覚めるようにする。垂れていた目は少しキレ長く、頬は赤く染まる。


「独り……か……。」


 誰にも聞こえないような声で呟く。


 そして今日も独り、ただ果てのない世界を旅する。


 そう、一人で

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る